修学旅行みたいに楽しかった『水深ゼロメートルから』の撮影

――現在公開中の映画『水深ゼロメートルから』でメインキャストを務めていますが、本作は2021年に上演された舞台の映画化で、メインキャストのうちココロ(濵尾咲綺)、ミク(仲吉玲亜)、ユイ(花岡すみれ)の3人は舞台に引き続いての出演です。清田さんはココロとミクの同級生で水泳部のチヅルを演じていますが、どういうオーディションだったんですか。

清田 面談形式で、山下監督と、すでに出演が決まっているキャストの皆さんもいらっしゃいました。事前に舞台版の台本をいただいて、それを読んだ上でオーディションに臨んだんですが、台本以外のお話しが多かったのが印象的でした。

――たとえば、どんなお話しですか。

清田 出身はどことか、得意なことは何とか、面談の時間が20分だったとしたら、台本の話になったのは10分を過ぎたあたり。山下監督はフレンドリーで、和気あいあいとした雰囲気で面談が進んでいったので、すごく楽しかった記憶があります。

――初めて映画版の台本を読んだときの印象はいかがでしたか。

清田 会話劇で、登場人物が少ないのもあって、みんなの言ってることに共感できたんですよね。だから「脳内会議」のような感覚があって、それぞれ違う方向で悩んでいるから、見る人によってはごちゃついた印象を受けるかもしれない。でも人の頭ってこういう感じだよねって思いました。

――舞台版との違いはどういうところに感じましたか。

清田 新たな登場人物として野球部のマネージャー・りんかちゃんが加わっていますが、「自分って何なんだろう?」という基本的なテーマは変わっていなかったです。ただ映像作品で、実際のプールが舞台になるのを想像しながら読むと、舞台版とは違った色を感じました。

――チヅルの印象はいかがでしたか。

清田 イノシシみたいに真っ直ぐな子です。

――イノシシ……猪突猛進ってことですかね?

清田 そうです!負けず嫌いだからこそ、水泳で勝てないことに憤りを感じていて。私自身、チヅルのように表には出さないですけど、負けず嫌いの部分もあるので、そこは共感できました。予告編でチヅルの紹介文として「ふてくされ水泳部」と書かれていますが、よく私もふてくされています(笑)。他人と意見がすれ違ったときに、なんだかんだで「自分が折れよう」みたいになるところも似ています。

――現場の雰囲気はいかがでしたか?

清田 スタッフさんが優しかったのもあって、すごく良かったです。本読みの時点で、3人は舞台で共演しているのもあって仲が良くて、その中に私だけ入れてもらうということで不安もありました。ただ濵尾咲綺さんとは一度CMで共演したことがあったので、自然と輪に入ることができました。話してみると、みんな本当に明るくて。約10日間、同じホテルに泊まって撮影をしたんですが、夜も一つの部屋に集まるぐらい仲良くなって、一緒にお風呂も入ったりして、修学旅行みたいでした。

――山下監督の演出はいかがでしたか。

清田 ずっと見守ってくれているような感じで、細かく指示をするのではなく、やりたいようにやらせてくれて、噛み合っていなかったときに助け舟を出してくれるんです。役者ベースで演出してくれる方だったので。すごくやりやすかったです。

――完成した作品を観た感想はいかがでしたか。

清田 撮影中は自分の役のことで頭がいっぱいで、ちょっと視野が狭くなっていたなと思う部分もあったんですが、完成した作品を観ると登場人物全員が粒立っていて、すごく感動しました。

――最後に、大学生活最後の年はどんな一年にしたいですか。

清田 授業も落ち着いてきたので、今までお仕事と大学の比重が半々だったとしたら、お仕事7・大学3にしていくのもありかなと思いつつ、最後の大学生活だからこそ、お仕事7・大学7でやっていきたいです(笑)。

Information

「町中華で飲ろうぜ」
BS-TBS
毎週月曜よる10時

公式HP
Instagram
X

『水深ゼロメートルから』
2024年5月3日(金)より新宿シネマカリテ・下北沢K2ほか全国順次ロードショー

濵尾咲綺 仲吉玲亜 清田みくり 花岡すみれ
三浦理奈 さとうほなみ

監督:山下敦弘
脚本:中田夢花|脚本協力:小沢道成
原作:中田夢花 村端賢志 徳島市立高等学校演劇部
制作プロダクション:レオーネ|製作幹事:ポニーキャニオン|配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
🄫『水深ゼロメートルから』製作委員会

高校2年の夏休み。ココロ(濵尾咲綺)とミク(仲吉玲亜)は体育教師の山本(さとうほなみ)から、特別補習としてプール掃除を指示される。水の入っていないプールには、隣の野球部グラウンドから飛んできた砂が積もっている。渋々砂を掃き始めるふたりだが、同級生で水泳部のチヅル(清田みくり)、水泳部を引退した3年の先輩ユイ(花岡すみれ)も掃除に合流。学校生活、恋愛、メイク……。なんてことのない会話の中で時間は進んでいくが、徐々に彼女たちの悩みが溢れだし、それぞれの思いが交差していく。

公式HP
Instagram
X

清田みくり

2002年8月20日生まれ。和歌山県出身。2019年、俳優デビュー。主なドラマ出演作に「いだてん~東京オリムピック噺~」(2019/NHK)、「さくらの親子丼2」(2019/THK)、「顔だけ先生」(2021/THK)、「First Love 初恋」(2022/Netflix)、「クールドジ男子」(2023/TX)、「だが、情熱はある」(2023/NTV)、「Sugar Sugar Honey」(2024/MX)。主な映画出演作に『殺さない彼と死なない彼女』(2019)、『チア男子!!』(2019)、『愛唄 ―約束のナクヒト―』(2019)、『胸が鳴るのは君のせい』(2021)、『野球部に花束を』(2022)、『モダンかアナーキー』(2023)。

PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:IZUMI SEIKE,STYLIST:ARISA YAMADA