繰り返されるレコーディングで「強い裏声」を駆使できるなど歌声の変化も

――12ヶ月連続配信リリースを経験したことで、成長も実感できたのかと思います。

玉井 そうですね。月に一度出演している『しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のももいろフォーク村NEXT(フジテレビNEXT)』で音楽にふれる機会はありますけど、カバー曲が中心なので、新曲のレッスンやレコーディングを繰り返した12ヶ月間は貴重でした。しかも自分のソロ曲なので、表現の方法は無限大ですし、歌とじっくり向き合い続けた期間になりました。レコーディングしながら「こんな声出せるんだ」と驚きもありました。

――ソロアルバム収録曲で特にご自身の成長を感じられた曲はありますか?

玉井 第1弾の「暁」です。写真をヒントに曲を作っていただいて、自分で想像していたのとは異なる印象の楽曲が届きました。結果、12ヶ月連続配信リリースを、サプライズ的にスタートできたかなと思います。「暁」はキーが高めで、ピッチの高低も激しいので苦労しました。ボイストレーニングの先生とゲーム感覚で歌い方を探して、レコーディング後は強い裏声も使えるようになり、苦手意識も少なくなりました。

――ボーナストラックとして、かつてのソロ曲「涙目のアリス」「…愛ですか?」も再録しています。

玉井 グループのライブで披露する機会はありましたが、音源としては10年以上前にレコーディングした“子どもの声”のものしかなくて。「涙目のアリス」は、ラジオ番組のシティポップ特集で流してもらったこともあり、うれしかった反面、“子どもの声”のままだと恥ずかしいので、録り直したかったです(笑)。過去の音源では背伸びをしていたし、ようやく楽曲に年齢が追いついてきた部分もあるので、聴き比べていただいて、成長を感じ取っていただけると嬉しいですね。

――ロックバンド・鋭児の及川千春さんが提供したメインリード曲「Shape」はいかがでしょう?

玉井 12ヶ月連続配信リリースの総括としてご褒美代わりに作っていただいたんです。耳心地がよく、いい意味で今っぽい楽曲になりました。私のことを知らない人もスッと耳に入ってくるような、優しいメロディが印象的で、途中でラップも入ってくるので、1曲でいろいろな色が見られます。

――サブリード曲は、音楽プロデューサーの亀田誠治さんが提供した「ベルベットの森」です。

玉井 自分から亀田誠治さんに楽曲を作っていただきたいとお願いしました。私が知ってる亀田さんの楽曲は、ストレートな歌詞と一度聴いたら忘れないメロディが魅力で、キャッチーでパワーのある印象です。秋に枯れ木の下で佇む私の写真から想像していただいて、亀田さんからは「今はもう会えない人に思いを馳せながらも、強く生きている女性を歌にしました」とメッセージをいただきました。<君のために歌っている><君の幸せを願っている>という歌詞もあって、ステージに立つ人すべての思いが反映されています。序盤と終盤のメロディが同じで、最初は森の中に迷い込むような不穏な空気感ですけど、最後は未来へと希望がパーッと開けるように印象が変わって、ライブ映えする曲だなと思いました。