やりたいことに向かって必死に頑張れているので楽しい

――キャリアについてお伺いします。小さい頃から芸能界に憧れはあったんですか?

中﨑 学生時代は自分が芸能活動をするとは1ミリも思っていなかったです。中学はバスケに打ち込んでいて、それは今のお仕事にも活きているんですが、高校は商業科。勉強はできるほうではなかったんですが、簿記だけ異常にできて、あだなが「簿記女」でした(笑)。日商簿記と全商簿記の二つがあって、私は簿記女ですから難しいほうの日商簿記コースを選択したら、とんでもなく難しくて。やってもやっても点数が下がっていく一方で、そのときのストレスで、半年で16キロ増えたんです。そのときに太ったことが、後の芸能活動に繋がっていくんですが。

――高校時代、将来の夢は何だったんですか。

中﨑 夢がどうこうよりも、簿記を学んだから高校卒業後は当然のように事務職に就いて、同じ職場で2年間働きました。でもやりがいを感じられなくて、このまま一生を終えたくない、好きなことをやってみたいと思うようになって、転職を考えたんです。環境が変わるなら何でも良かったので、税理士、アパレル、栄養士など、いろんな選択肢を考える中で、2013年にavex×CanCam主催で「全国ぷに子オーディション」というのがあって。高校時代よりも落ち着いたとはいえ、今よりも太っていたので、ぷに子の自分でもいけるのかな、認めてくれる場所があるのかなと応募したら合格しました。

――人前に出るのは得意なほうでしたか?

中﨑 太る前は、チアをやったり、クラス委員をやったり、目立つほうではあったんですが、太った時期に、「人前に出るのが嫌だ」「友達に会うのも嫌だ」と自信喪失していました。だから自分に自信を持ちたい気持ちもありましたし、学生時代はバスケ、簿記、就活と頑張って来たけど、OLになってからは目標がなくなって、何か頑張れるものが欲しかったんですよね。

――オーディションは、最初からアイドルグループを結成するという話だったんですか?

中﨑 最初は違いました。応募要項にやりたいことを支援しますと書いてある中で、私が一番興味あったのは俳優だったんです。私以外のメンバーもアイドルになりたくてオーディションを受けた訳ではなくて、演技だとか、歌やダンスをやりたい子たちが集まっていたんです。でも、このユニットで有名になれたら好きなことができるよねとメンバーで話し合って、ちゃんと納得してアイドル活動をしていました。

――どうして俳優に興味を持ったのでしょうか。

中﨑 俳優って自分が諦めない限り、ずっとやり続けられる職業だなと思ったんです。社会人になって一度目標を失ったからこそ、どれだけ時間がかかっても、目標に向かって頑張れるって素敵なことだなと。

――アイドル活動はいかがでしたか?

中﨑 自分では向いていたと思います。歌とダンスは得意ではなかったんですけど、すごくライブが楽しかったんです。私に会いに来てくれる人がいて、ちょっとしたことでも喜んでくれて、それってすごいことだなと。それにメンバー全員、仲が良くて、第二の青春みたいなところもあって。それで5年4カ月間、頑張ったんですけど、何度も話し合いをして今後の方向性を考えて、メンバー全員での卒業を決めました。

――グループ卒業後、約3ヶ月でマイナス10kgのダイエットに成功しましたが、自分の意志でダイエットを始めたんですか?

中﨑 卒業して1カ月後ぐらいに「サンスポgogoQueen2019」というグラビアのオーディションのお話があって、やりますかって打診されたんです。迷ったんですけど、ソロになってからお仕事がなかったのでやってみようと。これからお芝居をやっていく上で、ぷに子と名乗るには中途半端だったので太るか痩せるかだと。そこで私はグラビアをやるんだったら「痩せたい!」と思ったんですよね。週3でパーソナルトレーナーの元に通って、あとは食事制限。リバウンドはしたくなかったので、ちゃんとゴハンは食べながらダイエットに励みました。

――目標だった俳優になってみていかがでしたか。

中﨑 一人になると寂しいかなと思ったんですが、やりたいことに向かって必死に頑張れているので楽しいです。この5年間、上手くいかないことのほうが多かったんですけど、一生俳優でいたい気持ちは変わりません。グループ結成当時、スタッフの方に「人にはタイミングがある。だから特定の誰かが推されていても、応援できる人であってほしい。そうすれば絶対に自分のタイミングも来るから」と言われたのが今も心に残っていて。グループを卒業して俳優活動を始めたときも、いつか自分のタイミングが来るというのを信じ続けられているからこそ、今も続けられているんです。

――映画『卍 リバース』を機に、より映像の仕事に力を入れていきたい気持ちはあるんですか。

中﨑 そうですね。そのつもりで去年から映像のオーディションだけ受けていたんです。将来的には映像・舞台どちらもできる俳優になりたいんですが、その中で決まった『卍 リバース』のメインキャストだったので、この流れに乗って、今は映像の勉強をしていきたいです。

Information

映画『卍 リバース』
シネマート新宿、池袋シネマ・ロサほかロードショー中

鈴木志遠 門間航 中﨑絵梨奈 田中珠里
手島アリサ 真田和輝 小野寛之 オオエベン / 斉藤陽一郎
原案「卍」谷崎潤一郎
監督:宝来忠昭 脚本:宝来忠昭/藤村聖子
製作:BBB/ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム 宣伝協力:とこしえ
2024年/日本映画/日本語/99分/アメリカンビスタ
©2024「卍 リバース」パートナーズ

サラリーマンだった園田(鈴木志遠)は、画家になる夢を諦めきれず、脱サラして美術学校に通っている。家計は弁護士である妻の弥生(中﨑絵梨奈)に頼り切りだった。そんな中、学校ですれ違う美しい青年・光(門間航)を目で追うようになり、デッサンのモデルとして光を家に招く。そして、自然と体を重ね、その後も度々逢瀬を繰り返すようになる。その一方で、夫婦生活は散漫になっていった。弥生からの誘いを断り、光との情事に溺れる中、光には香織(田中珠里)という婚約者がいることが発覚する。無機質な病室のベッドで、園田が担当医に語り始める。これはまだ、愛憎で絡み合う男女が辿る、数奇な運命の序章だ。

公式サイト
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中﨑絵梨奈

1993年6月8日生まれ、北九州市出身。2019年Chubbiness卒業後、女優としての活動を本格化。数々の舞台や映画ドラマに出演し、昨年末には朝日放送系「相席食堂」出演し話題となった。主な出演作、映画『鯨の骨』『クロガラス0』/ドラマEX『仮面ライダーゼロワン』 Hulu『あなたに聴かせたい歌があるんだ』など。

PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI