オンラインゲームの友人がきっかけでクルマ好きに“初の愛車”はホンダのインテグラ SiR

――2024年は、1500cc超〜2500ccの前輪駆動と4輪駆動のクルマがしのぎを削る全日本ラリー選手権の「JN-4クラス」に、自動車メーカーのサポートを受けない個人のプライベーターとして参戦。2018年に初挑戦したラリードライバーとしてのキャリアは、6年目となります。その生い立ちから伺いたいのですが、過去の記事では、青春時代は「引きこもり気味」だったと明かしていました。

兼松由奈(以下、兼松) 学校では友人が少なく、他人の目を気にしすぎて、周囲の同級生にすら緊張するほどだったんです。小学校を卒業して、私立中学に入学してもなじめず、公立の中学校に転校して。それでも満足に通えなかったので、自宅ではずっと、好きな漫画やアニメのイラストを描いていました。中学卒業後は高校に進学せず、洋服を作りたかったので、洋裁の専門学校に入学して、気の合うクラスメイトと一緒に趣味でコスプレの衣装も作っていたんですけど、その学校も辞めてしまって。結局、転校した高校と合わせて4年かけて、19歳でようやく卒業しました。

――自身のSNSやYouTubeチャンネル「兼松ゆうなのアクセルぜんかい〜」で、笑顔を見せる現在とのギャップを感じる話です。高校卒業を控える時期、クルマと出会ったそうですね。

兼松 兄が2人いて、一番上の兄に影響されました。高校最後の年に、一番上の兄が中古でホンダのインテグラ SiRを購入して、シルバーのボディに2ドアで、最初は「おじいちゃんが乗ってそうなクルマ」と、思っていたんです。でも、当時ハマっていたオンラインゲームにクルマ好きの友だちがいて、他愛ない会話でふと「お兄ちゃんがインテグラっていうクルマに乗ってる」と言ったら「いいな。オレもほしい!」とノッてきて。そこから、興味が出て調べはじめると、(ボンネットに格納できる開閉式の)リトラクタブル・ヘッドライトのクルマが「かわいい」と気がついたんです。一番上の兄に「免許を取ったら、オレのクルマをあげるよ」とも言われたので、通った自動車教習所では、置いてあった漫画『頭文字D』にハマりつつ、頑張ってマニュアル免許を取得しました。

――その後、実際にお兄さんのクルマは譲り受けたんでしょうか?

兼松 はい。でも、わりとすぐにオシャカになりました(苦笑)。高校卒業後は出身地の岐阜県から都内の大学への進学が決まって、上京前日「最後のドライブに」と思って走っている最中に追突されてしまったんです。

――気持ちを察するばかりで(苦笑)。でも、大学時代はよりクルマを突き詰めるようになったと。

兼松 事故での保険がおりて、上京後も「どのクルマを買おうか」と迷っていたんです。ちょうどその頃、高校時代から繋がりのあったクルマ好き友だちに、クルマ好きの聖地といわれる大黒パーキングエリアに誘われて、同乗した助手席から見た首都高の景色にも感動して「私も走ってみたい」と思って。大学入学から1ヶ月後にはクルマを購入するために働きはじめたんですけど、じつは、アルバイト先を決めたきっかけも、インテグラでした(笑)。アルバイトを探しているとき、たまたま通りがかったカー用品店「タイヤ館」にインテグラ タイプRが停まっていたんです。働いてからお世話になった社員さんの愛車で、「クルマを購入したくて」と相談したら安い金額で譲ってくれたので、ホイールを変えたり、シートを変えたりと、自分でもクルマをイジるようになりました。