ひょんなことから中学2年生で映画デビュー

――キャリアについてお伺いします。どんなタイプの子どもでしたか。

立花 目立ちたがり屋ではないんですが、よく「変わってる」と言われていました。人と違うことをしたがるので、ある意味、目立ちたがり屋だったのかもしれません。

――一人で行動することが多かったんですか?

立花 一人で行動もするけど、みんなの輪に入るのも好きでした。だから、どこにも所属していないようでしているような、敵を作らずに各グループを横断していて。それで「あいつ変だよね」と言われるみたいな(笑)。

――部活や習い事はやっていましたか。

立花 学校では卓球部に所属していたんですが、小学3年生から中学卒業までアイスホッケーをやっていました。たまたまスケートリンクが近所にあって、ジュニアのクラブチームが2チームだけあったんです。そのうちの一つに所属していたんですが、2チームしかないので、市の大会も、いきなり決勝戦から始まるんです。そして次の日には敗者復活戦(笑)。試合が終わったら、みんなで焼肉に行くというのが定番でした。

――どうしてアイスホッケーをやろうと思ったんですか。

立花 初めてスケートリンクに行ったときに、クラブチームのポスターが貼ってあって、かっこいいなと思ったんです。それまでアイスホッケーの試合すら見たことがなかったので、よく分からずに入ったというのが正直なところです。

――なぜ中学卒業でアイスホッケーを辞めたんですか?

立花 高校になると一気にレベルが上がるんです。しかもアイスホッケーのできる高校は寮生活をしなければいけない学校しかなかったので断念しました。

――どういうきっかけで俳優の仕事を始めたのでしょうか。

立花 これもきっかけはアイスホッケーでした。クラブチームにアイスホッケーをテーマにした映画のオーディションのお話が来まして。誰でも参加できて、合格したら北海道に行けるということで、うちのチームから僕も含めて何人か応募したんです。そしたら奇跡的に僕だけ合格しました。他にも関東中のクラブチームに声をかけていて、関東から北海道ロケに参加したのは10人ぐらい。それが、陣内孝則さんが監督を務めた、『スマイル 聖夜の奇跡』(07)という映画です。北海道の弱小アイスホッケーチームが、それまでホッケー経験のないコーチと出会って、全道大会で優勝するというストーリーで、実際にモデルになるお話があったそうです。

――どうして素人の子どもたちを起用したのでしょうか。

立花 子役にホッケーを教えるよりも、もともとホッケーをやっている素人の子どもに芝居をつけたほうが、リアルなホッケーシーンが撮れるという陣内監督の意向があったそうです。

――初めてのお芝居はいかがでしたか。

立花 めちゃくちゃ楽しかったです。初めて必死に仕事に取り組む大人たちを目の当たりにして、映画の世界って素敵だなと思いましたし、スタッフの方々とも仲良くさせていただきました。完成した作品を劇場に観に行ったときも、映画館の大きなスクリーンに自分の顔がドアップで映って、お客様の反応を直に感じて、より映画の素晴らしさを痛感しました。そのときに映画に携わっていきたいと思いました。

――『スマイル 聖夜の奇跡』に出演するまでは全くお芝居に興味はなかったんですか。

立花 なかったです。映画デビューが中学2年生だったんですが、それまで授業が終わったら卓球をして、冬場はアイスホッケーもという日々だったので、それ以外のことに興味を持つ機会も少なかったんですよね。