こんにちは。GANG PARADE/KiSS KiSSのキャ・ノンです。今日も何を書こうかと悩みまして。わたしは自分の考えていたこととか、忘れたくないこととか、人からもらった言葉とか、あとから見返したいことを、自分しか見れないXのアカウントに書き溜めていまして、時々見返す事を楽しんでます。見られたら困るものはないけど、恥ずかしい日記みたいなものです。このとき荒んでるなーとか、このとき絶好調だなーとか、思いながら何かいい文章はないかと探していたところ、「アイドルと”ヲタク”、エモーショナルすぎる」という、ぺらぺらな言葉が見つかって、そのとき考えたことなどを思い出して、今日は書いてみようかなと思います。ちなみに自分のツイートを『アイドル』で検索したら、2017年に「アイドルが好きだ」と激イタツイートしているのが見つかりました。というわけで今日は、アイドルとファンの特殊で特別な関係について書いていこうと思います。
当たり前のように名前(本名ではない)を呼んで、友達のようにタメ口で喋って、毎週のように会っている存在。なのに、街ですれ違えば、お互いに目を逸らして見てないことにしたり、逃げるように去ったり、アイドルとファンはアンビバレントな関係だ。この歪で、でも決して無理して保たれているわけではない、天秤にかけるものでもない特別な関係性が、面白くてわたしはとても好きだ。
学生時代の友達はみんな就職して働いて、土日休みが基本。わたしたちアイドルは土日にイベントやライブが入ることが多く、会える回数はかなり減った。忘年会や新年会など、年に一回か二回会うくらいになった。これがきっと、大人になるってことなんだろうか。メンバーとは毎日顔を合わせ、マネージャーさんともほぼ毎日顔を合わせる。そしてその次に会っているのが、あなたたちファンなのだ。もちろん、場所や会場によって会える人は違うし、いつもいてくれる人もいれば、たまにしか会えない人もいる。それでも、家族や友達よりも何倍も会っている存在だ。
これだけ顔を合わせることがあって、話す機会があって、それでもわたしは少ししかあなたのことがわからない。本名も、はっきりとした年齢も、職業も、誕生日も、住んでいる場所も、きらいな食べ物も、知らないことばかりなのだ。でもそれはきっと、こちらも同じだ。世に出ていない情報はわからないし、個人情報だったら尚更、言っていることだって嘘かもしれない。でも、それでいい。お互いのことを何にも知らないのに、好き同士でいられることは、本当の愛なのかもしれない。
そしてアイドルは、わたしは、自分が発した言葉より、受け取った言葉の方がよく覚えている。「一生好きだよ」「世界で一番好き」と言ってくれた人も、とびきりの愛を込めて書いてくれた手紙をくれた人も、いつの間にかその人の中からわたしは消えていたりするのだ。時々エゴサーチしていると「元推しが〜」みたいな言葉を見て、わたしっていつの間にか元推しになったんだ・・・とひとり落ち込むこともある。こちらはあなたを好きなまま、いつの間にか薄まってしまう。でもこれも、それでいいのだ。考えてしまえば、さみしかったり、むかついたり、自分の不足のせいかもしれないと落ち込んだりしてしまうけど、それはわたしの中だけの話だ。
わたしたちは時々、街ですれ違うこともある。渋谷を歩いているときや、電車に乗っているとき、今の人、絶対昔来てくれてた人だったなーってなったり、年取ったなー、でも元気そうでよかったな、なんて思い耽ったりするのだ。知っている顔だったり、グッズを身に付けてくれている人にも出会うことがある。毎回、話しかけてみればよかったかもなんて思うが、こちらに気付けばありえないスピードで消えていったり、見えないふりをしてくれたりするのだ。こちらに気付かず、一方的に見つけたりすることもあって、そのときは心の内でニヤニヤとしている。気持ち悪いかもしれないが、普段ライブでしか会えない存在が、どんな風に日常を過ごしているのか知りたいし、みんながわたしの知らないところで何をしているのか、少しだけ覗けた気分になってうれしいのだ。
メンバーとの会話の中にもみんなの話題はいつも上がるし、次に会えたら何を話そうか普段から考えたりもする。上手く話せなかったら落ち込むし、笑顔が見れたら心が温かくなる。会えることがうれしくて、会えなくなってしまったらさみしくて、自分がいることが相手にとって幸せでありたいと思う。そんな特殊で特別な関係は、居心地が良くて、でもそれに甘えてはいけないと自分を律する。何年アイドルをやっても、アイドルってなんなんだろうとずっと考えている。
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