世間からどう見られるかなんて、もう関係ない

──ところでポルカの曲作りってどのように行われているんですか?

雫 最初に私がクリックだけを聴きながら歌を録って、そのデータをメンバーに送るんです。「ここは、こういう風なフレーズが欲しい」みたいなニュアンスもテキストでバーッと書いて、それも添付するんですけど。それこそ指示書みたいな感じで。私自身がゲームディレクターだったこともあるので。

──その時点ではコード進行やリズムの細かい部分は決まっていない?

雫 決まっていないです。私の投げかけに対して、ギターの(エジマ)ハルシが「じゃあコードの流れはこんな感じですかね」とか宅録でワンコーラス分とかを送り返してくるんですよね。そこからも「いや、4つ目のコードは変えてほしいな」とか空中戦でのやりとりが続いて、完成に近づいていくんですけど。リズムに関しても同じような感じで、「いや、サビの折り返しのフィルは変えたほうがいいかも」とか、いろいろ試行錯誤しています。めちゃくちゃバンドっぽいスタイルだと思いますね。

──ともするとポルカは雫さんのワンマンバンドに見られがちですし、なんだったら「なぜソロでやらないの?」という声もあるかと思います。でも、バンドである必然性が、かなり高そうですね。

雫 私って音楽に関する専門知識があまりないんですよ。パッションはあるし、鳴らしたい音のイメージも明確にあるんですけど。ギターのコードとかも本当によくわかっていなくて、ハルシに教わった通り「とりあえず何フレット目を押えればいいのか」とやっているだけです。だからメンバーと音を固めていくときも、すごくふわっとした伝え方しかできない。「もうちょっと雨が降っている感じにしてほしい」とか平気で言いますからね(笑)。

──それを形にできるメンバーもさすがです。

雫 この前は「そんなカッコいいフレーズじゃなくて、もっと“中国四千年”みたいな感じにしてほしい」と伝えて、さすがにメンバーも困惑していました(笑)。そのときは、しょうがないから大の大人4人がスタジオの中で≪中国四千年≫とかYouTubeで検索し始めました。「この完全4度で中華っぽくなるんじゃないですか?」「そのフレーズをもっと高い音で弾いたほうがキャッチーでいい感じかも」とか延々やりとりしてね。メンバーからしたら、もはや介護みたいなものだと思う。私、マジでメンバーに頼りっきりなんですよ。

──さて「積極的にリリース数を増やしていく」という話も出ましたが、今回の「JO-DEKI」以降の見通しもすでにあったりはしますか?

雫 「アウト」という新曲を8月28日にリリースします。これも新体制のポルカだからこそできた曲。わりとコテコテのアニソンっぽいところがあるんですよ。私たちはこれまでナチュラルなバンドサウンドでやってきたんですけど、「アウト」はデジタル系のロックになっていますから。ドラムも打ち込みで、ギターやベースもライン録りで。これまでだったら「ちょっとベタすぎない?」「ダサく聴こえない?」みたいな懸念もメンバー内で出たと思うんですけど、今は「いや、もうやり切ったほうがいいだろ!」と勢いで突っ走る感じ。もう世間からどう見られるかなんて関係ないというか、振り切れちゃっているんですよ。

──「ポルカドットスティングレイはこうでなくてはいけない」みたいなこだわりがなくなった?

雫 もう今はまったくない!むしろ「どうせ何をやっても、私たちはカッコよくなる。だから、お客さんは喜んでくれる」という自信に満ちあふれています。

──ライブ活動も積極的に行っていくのだとか。

雫 11月からツアーがあるのと、10月にはZepp Hanedaで誕生日ライブもやります。私、今年は本厄なんですよ。本厄の輝きを見せつつ、本厄のパワーをファンの方に浴びせていきたいですね(笑)!現時点ではまだ細かいセットリストなどは決まっていないですが、映像の演出面でも沸かせていきたいと考えています。今までは技術的な問題もあって、なかなか一皮剥けられない部分だったので。

──ビジュアルでも新機軸を打ち出すというわけですね。

雫 そうですね。衣装にもこだわりたいですし。30歳を過ぎてから、逆にギャルっぽい衣装が嫌味じゃない感じで着られるようになったんですよ。1周回ってギャグみたいなものなんでね。どんどん衣装で若返っていく作戦。絶対に可愛くなると思うから、そこも期待しておいてほしい(笑)。