映画を観終わった後、家族に会いたいという気持ちになった

――現場の雰囲気はいかがでしたか。

池田 びっくりするぐらい明るくて楽しかったです。家族のシーンは喧嘩ばかりでしたけど、カメラの回っていないところでは一緒にお弁当を食べながら料理の話をして。お母さん役の遠山景織子さんはお料理がお上手で。わざわざ自分で作った味噌麹を持ってきてくださって、みんなで白米にかけて食べました。スタッフさんも含めてチームワークが良くて、常に和気あいあいとした現場でした。

――ソラの彼氏でダメ男の蛭間拓人を演じた簡秀吉さんは同じ事務所ですが、今回が初共演とお聞きしました。

池田 真っ直ぐな方です。すごくしっかりしているけど、どこか拓人っぽい親しみやすさもあって。簡くん自身は「全然似てない」と言っていましたけどね(笑)。私は脚本を読んだとき、拓人はすごく難しい役だと思ったんです。二十歳を過ぎて、真っ直ぐでいられるって難しいじゃないですか。根っから綺麗な心を持っている人じゃないと演じられないと思ったんですが、簡くんが綺麗な心をお持ちだったので、拓人を演じても嫌味にならず憎めない。その雰囲気を上手に出していらっしゃったので、彼女役としてもありがたかったです。

――ソラの大学の同期・九頭竜レイを演じた吉田凜音さんの印象はいかがでしたか。

池田 もともと凜音ちゃんは男前な印象があったんですが、すごくしっかりしていて。気さくに話しかけてくださるので親しみやすくて、休憩中はずっとおしゃべりをしていました。私も気を張ることなく接することができて。仲良くなれたからこその二人の空気感は、映像でも伝わるはずです。

――池田さんは中学時代から芸能活動を始めていますが、吉田さんも芸歴は長いですよね。

池田 凜音ちゃんは1歳上ですが、私よりも全然早く音楽活動を始めていて。私が15歳のとき、お仕事に関係なく観に行ったライブで凜音ちゃんのステージを観たことがあって。あまりにもオーラがすごくて、「この子誰だろう?」って調べたぐらい衝撃を受けました。存在は昔から知っていたんですが、今回初共演させていただけてうれしかったです。

――撮影で特に印象的だったことは?

池田 本編とは関係ないんですが、去年8月に9日間かけて撮影をして。真夏にも関わらず制服は冬服で、その上にコートを羽織って走らなきゃいけないので大量の汗をかきました(笑)。みんなで一生懸命、寒いふりをして演じていたんですが、汗をかかないなんて無理なので、ヘアメイクさんは大変だったと思います。

――完成した映画を観た印象はいかがでしたか。

池田 奨学金というテーマ以上に、家族の関係性が胸に刺さって、映画を観終わった後、家族に会いたいという気持ちになりました。そうした家族愛も大きな見所ですね。