わずか3ヶ月で浮き彫りになった“瞑想”の精神的効果とは?
──撮影では様々な試行錯誤もあったようですが、実際に完成した作品を観たときはどう感じましたか?
永瀬 「早く次の甲斐映画を観たい!」。率直にそう思いました。気が早いですね(笑)。もっともっと監督の中の想いを見せていただきたいと思ったんですね。今回もですがこれだけの素晴らしい作品を作れる方なので、一人でも多くの人に甲斐監督の世界観を知ってもらいたいんですよ。それは甲斐監督の前作『赤い雪 Red Snow』に僕が出演させていただいたときから、ずっと言い続けていることなんですけど。今回は『赤い雪』とは違ったかたちで甲斐作品に関わることができて、非常に貴重な経験だったと思います。
水原 撮影している最中は不安の連続だったんですけど、実際に仕上がったものを観ると、「やっぱり甲斐さんはすごい!」と思ったし、井浦さんをはじめとして「役者さんってすごい!」って心から思いました。
永瀬 希子ちゃんだって立派な役者さんじゃないですか(笑)。
水原 なんて言えばいいのかな……。新さんが演じた新次と新次の“それ”が、映画だとまったく別の存在感を出していたんですよ。私は間近で裏側の過程を見ていたから、感動しちゃって。最初に脚本を目にしたときに感じた「この作品に出たい!」という気持ちは間違えていなかったなと思いました。
──水原さんのキャリアの中でも重要な作品になったようですね。
水原 自分が出演しているということを抜きにしても、これは純粋に観たいと思える作品なんです。そんな素敵な作品に巡り合えること自体が幸せだと思うんですよ。監督も共演者の方たちもずっと寄り添ってくれましたし、私の中では本当に特別な作品です。
──最後に作品のことから離れたことをお伺いします。お二人が最近ハマっていることは
何ですか?
水原 瞑想です。かれこれ3ヶ月くらい続けていますね。
永瀬 3ヶ月連続で?それはすごいな。瞑想は夜にやるんですか?
水原 私は朝にやっています。15分から30分くらいかな。そもそもはモーニングルーティンを始めることになり、その中のメニューに瞑想が入っているんですね。ちなみに瞑想以外では、読書、ヨガ、それに日々感謝していることと願い事を頭に思い浮かべているんですけど。
──瞑想することでプラスの効果を感じましたか?
水原 自分の頭の中を理解できるようになりました。たとえば夜、寝つけないときって頭の中が暴走状態にあるケースが多いんですよ。でも、実はそういった頭の状態って寝る前だけじゃなく日常から起こることでもあって。自分の潜在意識の中に、執着していることがあったり……。
永瀬 執着?
水原 そう。たとえば私は妹が大好きなんですけど、ついつい妹のことを考えすぎてしまう傾向がありまして。「もっとこうしたらいいのに」とか、余計なお世話じゃないかというレベルで過剰に考えてしまうんです。それって妹のことを考えているようでいて、実際は自分自身の問題じゃないですか。そういう潜在的な部分に気づくことができたのは、瞑想のおかげだった気がします。
永瀬 なるほどね。深いなぁ。
水原 瞑想していると、雑念みたいなものが1個ずつスーッと流されていくんです。すごく頭がすっきりしますよ。
──永瀬さんが最近ハマっていることは?
永瀬 希子ちゃんによる高尚な瞑想の解説のあとだと、発言するのもはばかれるな(苦笑)。僕の場合、「最近」というよりは「17年間ずっと」なんですけど、うちの“毛むくじゃら”にハマっていますね。
水原 毛むくじゃら?あっ、猫ちゃんのことか!
永瀬 もう依存しまくっています。親バカというより、バカ親なのかもしれません。本来の僕は相当な面倒くさがり屋なのですが、彼のためなら話が違ってくる。「水入れ替えなきゃ」とか「ごはんの時間だ」とか17年間忘れずにやっていますから。
水原 でも、猫ちゃんで17歳って結構な長生きじゃないですか?
永瀬 ありがたいことに。でもホント、彼なしではもう生きていけないと自分でも思います。いなくなったら、たぶん仕事とかしばらくしなくなっちゃうんじゃないかな(笑)。そういう意味でも、少しでも健康で長生きしてほしいですね。
Information
映画『徒花-ADABANA』
全国順次公開中
出演:井浦新、水原希子、三浦透子、甲田益也子、板谷由夏、原日出子、斉藤由貴、永瀬正敏ほか
脚本・監督:甲斐さやか
配給:NAKACHIKAPICTURES
🄫2024「徒花-ADABANA-」製作委員会/ DISSIDENZ
国家により、ある“最新技術”を用いて延命治療が推進された、そう遠くない現代。一定の階級より上の人間たちが病に侵された時、全く同じ見た目の自分である“それ”が提供されたら?そして、病の身代わりになってくれたら?甲斐さやか監督が現代に解き放つ、命の問題作。
PHOTOGRAPHER: TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:MAMORU ONODA