一貫して変わらないアニソンへの思い | カノエラナ「2024年に経験したことが今後の活動の一番の軸になると思う」INTERVIEW

一貫して変わらないアニソンへの思い

――カップリング曲についても教えてください。2曲目の「COCO♡ギャル」はかなりインパクトがありますね？

カノエ　この曲は最近作った私の中で一番新しい曲です。今回は配信ではなく、CDでのリリースということになったので、それならあと2曲追加できるじゃないかと。それで、ライブで映える曲がいいなということとファンのみんなと一緒に歌える曲がいいなということで作りました。ちょうど、ファンクラブでギャルの話になりまして、「じゃあ、今度ギャルの曲を作るわ」みたいなことを言っていたんですよね。なので、それを回収した感じです。日々私が思っている“心にギャルを飼ったら、人生がもっと上手くいくんじゃないか”みたいな、そういうことを書こうかなと思って作りました。

――レコーディングはいかがでしたか？

カノエ　浅野尚志さんのアレンジで、色鮮やかなポップな感じに仕上がったので、これはもう振り切って歌うべきだなと思って、ダウナーなギャルになりきって歌いました（笑）。

――そして、3曲目「人間やめたい」。2曲の対比がすごいですね。

カノエ　ギャルになると言っていた後で、人間やめたいとか言っているので、びっくりしますよね（笑）。実は、この曲はもう4～5年前に作った曲なんですけど、自分の中では思い入れの強い1曲だったんです。飲みに行った後に、「思っていた感じと違った」みたいなことを言われて…。なんだよ！みたいな気持ちになった時に書いた曲だったんですけど、そんなこと言われても分かんないよ…っていうことだったり、あと、日頃から花になりたいとか、人間じゃないものになりたいと思っていたりする節があるので、私のリアルが歌詞になっている曲です。フォークソングっぽい空気もありつつ、前の2曲がとんでもなくカラフルだった分、シンガーソングライターとしては、普段は弾き語りのライブをしているということを改めて知ってほしいなと思いました。なので、最初は色々アレンジを加えようかとも思ったんですけど、アレンジはいらないという全員の判断のもと、このような弾き語りスタイルになりました。

――3曲目にこの曲を入れることには、強い思いというか、こだわりがあったのですね。

カノエ　そうですね。もちろんアニメの曲もたくさん歌っていますけど、カノエラナの原点と言えば、自分自身の歌詞でギター1本で歌うというスタイルですし、これからもライブではこのスタイルで歌い続けていきたいという意思表明にもなっています。あとは、分かりやすい弾き語りなので、アニソンで知ってくださった方々にも、実はカノエラナはこんな感じの歌も歌っているということを知ってほしいなと思いました。

――改めてお聞きしたいのですが、シンガーソングライターになるという夢、アニソンを歌うアーティストになるという夢、どちらかが先にあったものなのですか？同時に志していた感じなのでしょうか？

カノエ　小さい頃の夢は、アニソンを歌うことでした。そこから、シンガーソングライターになるために邦楽や洋楽も聴くようになって、音楽の幅は広がっていったんですけど、心のどこかではずっとアニソンを歌いたいと思いながら、ライブ活動をしていました。最初はお客さんが少ない中で、誰かに見てもらうには尖らないといけないんだなということに気付いて、そこから、自分は歌詞を研ぎ澄ましていこうと考えるようになって、めちゃめちゃ歌詞で遊んだりするみたいな時期もありました。シンガーソングライターになるために、本当に色々なことをやってきたんですけど、一貫して心の一番下にはアニメがずっとあって、その土台の上に人生経験を積んできた中、今ようやくその土台をひっくり返せたというか、逆になったみたいな状態なのかなと思っています。それこそ、ずっと日の目を見ていなかった私の一番根っこの部分が、今は一番表にいるというだけで、自分自身は変わらずにずっと楽しいと思いながら音楽を続けている感覚です。

――冒頭からのお話を聞いていると、夢がより現実に近付いた飛躍の1年と言いますか、まさに、ホップ・ステップ・ジャンプのステップとなった年だったように感じました。来年は、ここからさらにジャンプしていく年になると思うのですが、どんな年にしたいですか？

カノエ　2024年に経験したことは、私の今後の活動において一番の軸になっていくんじゃないかなと今の段階では思っていますし、そんな今年の記憶や感覚を忘れずにいたいです。今年、大きな舞台で経験したような、ステージに立った瞬間に足のつま先から電流が上がってくるみたいな経験はなかなかできないことだと思っています。この先、どんなライブでもその感覚を呼び起こせるようにしていたいですし、もっともっと多くの人に私の音楽を届けたいと思っているので、2025年はさらに上を目指していきたいです。

PHOTOGRAPHER：TOMO TAMURA,INTERVIEWER：ATSUSHI OINUMA