いつの間にか父が事務所に履歴書を送ったのがデビューのきっかけ

――後半は学校のシーンも増えていきますが、懐かしさみたいなものはありましたか。

永瀬 制服姿で学校にいるので、学生時代を思い出しました。海夢ちゃんは制服の着こなしも普通のブレザー姿というよりかは、季節によって、羽織っているカーディガンの色や、チョーカーを変えるなど、ちょっとアレンジして着ているので、そういう楽しみもありました。

――現場の雰囲気はいかがでしたか。

永瀬 撮影自体は短期間だったんですが、その中でスタッフの皆さんも含めて、距離が縮まるスピードが早くて。チームワークを感じながら日々撮影をしていました。ハードなスケジュールでも穏やかなムードで進められました。

――特に苦労したシーンは?

永瀬 今まで出演した作品の中で一番セリフの量が多く、話すスピード感、勢い、テンションなども含めて私の中で大きな挑戦でした。最初は苦労したんですが、慣れてくるとセリフ覚えも早くなってくるんですよね。モノローグも多くて、声だけで表現するのは難しいなと思ったんですが、やってみると心情を表現するのが楽しくて、海夢ちゃんらしい、かわいい仕上がりになったと思います。

――ここからはキャリアについてお伺いします。どういうきっかけで、この世界に入ったのでしょうか。

永瀬 小学6年生で初めてスカウトをしていただいたんですが、そのときは中学受験を控えていたので、こういう仕事があるんだと知ることができたというところで終わったんです。その後、中学受験も落ち着いて、芸能に興味があるというのは両親にも話していたので、「どこかのタイミングでオーディションに応募するね」と伝えていて。そしたら父が、いつの間にか今所属している事務所に履歴書を送っていたんです。

――お母さんやご兄妹が勝手に応募するのはよく聞きますが、お父さんは珍しいですね。

永瀬 ある日、学校から帰ってきたらソニーの封筒がおうちに届いていて。父に渡したら、「これは家電のソニーだから、莉子には関係ないよ」と一度誤魔化されたんです(笑)。結果が書いてあったので、まずは確認してからということだったんですが、そのときはアーティストのオーディションしかやっていなくて。アーティスト志望ではなかったのですが、他に事務所の方に会える機会もなかったので、途中参加することになりました。

――特例だったんですね。

永瀬 周りがギターを弾いたり、歌を歌ったりしている中、途中参加の私だけ特に音楽をやるわけでもなく。当時は明確に何をやりたいというのも決まっていなかったんですが、お芝居はしたいなと漠然とですが思っていました。テレビっ子で、ドラマを見るのも好きだったので。そこから事務所に所属することになって、月に1回先輩たちとレッスンを受けるようになりました。

――レッスンを受けてみていかがでしたか。

永瀬 地元から東京に通っていたのもあって、部活をやっているような感覚で楽しかったです。徐々にお芝居をやりたいという思いが強くなって。将来、何をやりたいのか考えていく中で、芸能のお仕事をやりたいと一つの目標に絞ることができました。

――「ミスセブンティーン」は、どうして受けようと思ったんですか。

永瀬 事務所の方に受けてみないかと勧められました。よく『Seventeen』は読んでいたのですが、自分が専属モデルになるということは想像もしていなかったです。

――実際に専属モデルになっていかがでしたか。

永瀬 同世代のファンの方が応援してくれたり、専属モデル同士で同年代の仲間ができたり、みんなで同じ目標に向かって頑張ったり、良い刺激がたくさんありました。ファッションに関しても、自分一人だったら学べなかったことがたくさんあって、学びの多い、私にとって青春時代でした。

――モデル経験が、お芝居に活きている部分はありますか。

永瀬 自分はどういう表情をよくするのか、どういうふうに自分が映るのか、みたいなところは、映像と写真で多少の違いはあれど、お芝居に活きていると思います。