その場で生まれるものを大切にしなきゃと考えるようになった
――完成した映画を見た感想はいかがでしたか。
岡田 純粋に映画を観る方とは違う角度になりますが、裏側を知っているからこそ、役者さんはもちろん、児玉監督を始めとしたスタッフさんのこだわりが詰まっていて、怖さも詰まった作品ができたなと思いました。
――怖いシーンを直視することはできましたか。
岡田 ティザー予告の時点で本当に怖くて、私が現場にいなかったシーンも多いので、初めて観るシーンの連続で、まともに観ることはできませんでした。私のおばあちゃんに「観てね」と言ったんですが、私も一緒にいないと無理かなと思ったぐらい(笑)。ただ怖いだけじゃなく、何度も観ることで発見があって、面白さも増していくなと感じたので、後悔のない作品に参加できたなと。
――今回、映画の現場ならではのやりがいは感じましたか?
岡田 向き合う時間の長さは映画ならではだなと感じました。それによって深まっていくこともあれば、なあなあになってしまう部分もあるから、そこの新鮮さを保ちつつ、芝居力を深めていくことが私自身の課題だなと感じました。W主演の八村倫太郎さん、栁俊太郎さんを見ていると、常に緊張感を維持して、熱量の出し方も計算されていたので勉強になりました。
――役者デビューは2017年ですが、この7年間で芝居の向き合い方に変化はありますか。
岡田 かなり変わったと思います、楽しいという気持ちはブレずにあるんですが、役者さんと役者さんが現場で顔を合わせてお芝居をするんだから、その場で生まれるものを大切にしなきゃと考えるようになったんです。
――偶発的なものを大切にしようと。
岡田 以前は自分の家から用意してきたものを、「絶対にこれでやるんだ!」と決めてやっていたところがあったんです。それが今は準備してきたものを大切にしつつ、決めつけずにできるようになって。年々、そのときにしか生み出せない生の感情、生のお芝居を大切にするようになっています。
――『他人は地獄だ』でも生のお芝居は活かせましたか?
岡田 そうですね。事前にユウとメグミの関係性について思いを巡らせていましたが、現場で八村さんとお芝居していく中、どんどん変わっていく実感があって。最初に私が考えていたことと、本番でOKをいただいたお芝居は別物になっていました。もうちょっと臨機応変に対応できたら良かったかなという反省点もあるんですが、生のお芝居を大切にすることは意識できたのかなと思います。
Information
『他人は地獄だ』
全国公開中
出演:八村倫太郎(WATWING) 栁俊太郎/岡田結実
三浦健人 青木さやか 大倉空人 鈴木武 松角洋平 星耕介 日比美思 大野泰広 本多遼
濱津隆之 /萩原聖人
原作:『他人は地獄だ』ヨンキ(「LINEマンガ」連載)
監督・脚本:児玉和土
配給:イオンエンターテイメント
企画製作:映画「他人は地獄だ」製作委員会
©︎ヨンキ/LINE Digital Frontier・2024 映画「他人は地獄だ」製作委員会
地元での生活に閉塞感を覚えていた青年ユウは、上京して恋人のメグミを訪ねる。ユウは同棲したいことを伝えるが、突然の訪問に困惑した態度をとるメグミとは結局ケンカになってしまい、行く当てを失くしてしまう。そして、ユウは格安シェアハウス「方舟」に流れ着く……。そこにはヤクザ風の粗暴な山口、いつも卑屈な笑顔を浮かべているマル、妙に愛想がいい管理人のよし子、挑発的な言葉を投げかけるゴロ―、そして言葉遣いは丁寧だが、得体のしれないキリシマなど一癖のある入居者と出会う。入居した夜、山口とマルの口論を目撃したユウ。その翌朝には「方舟」から突然、山口の姿は消えていた。まだ半年はここにいると山口から聞いていたユウは言い知れぬ不安を覚える。やがて入居者たちの不気味な行動や会話からある疑惑が思い浮かぶ。それは…彼らは新たに入居してきた人間を殺害しているのではないというものであった。はたして入居者たちの正体とは?ユウはこの地獄のような場所から無事抜け出すことはできるのか?
PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:やすす,STYLIST:武久真理江
衣装協力:BORDERS at BALCONY SHUN OKUBO