自分自身の高校時代と近いところがあったので演じやすかった
──映画『きみといた世界』の主演はオーディションで決まったそうですね。
中川可菜(以下、中川) 私は高校生のときにミニシアターに毎週通うぐらいハマって、いつかミニシアターで上映される映画で主演を飾りたいという夢があったんです。それで『きみといた世界』の企画書を見たら、“ミニシアターで公開”とあり、夢が叶うかもしれないと思ってオーディションを受けました。
──ミニシアターというと、どのあたりの映画館に通っていたんですか。
中川 ユーロスペース、新宿シネマカリテ、新宿武蔵野館、キノシネマなどが好きです。
──邦画・洋画問わず観ていたんですか?
中川 洋画をメインに観ていました。高校生のときはサブスク配信もなかったので、ミニシアターで上映されるような作品は、上映期間を逃すと当分観られないかもしれないという状況でした。今もインド映画やフランス映画、北欧系の映画などは配信されない映画が多いので、ミニシアターに行くことが多いです。
──当時観て印象に残っている作品は?
中川 リチャード・カーティス監督が好きなんですが、ミニシアターで『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』(13)という作品に出会って好きになったんです。脚本で参加されている作品も含めて、大手の映画館ではやっていなくて、ミニシアターでしか観られないということからハマって。あと監督は違いますが『ピッチ・パーフェクト』(12)という作品もミニシアターで上映されていたんですが、その後人気になって続編が2本作られて、TOHOシネマズなどのシネコンで上映されるようになって。そのときに「私は1作目から観て知っているんだぞ」という優越感もありました(笑)。
──周りに同じような系統で映画好きの友達はいたんですか?
中川 いなかったです。ただ高校時代、映画好きの先生がいたので、よく映画のお話をしていました。
──初めて『きみといた世界』の脚本を読んだときの印象はいかがでしたか。
中川 分かりやすくて、すーっと物語に入っていけました。ピュアなお話なので、どうなるんだろうとワクワクしながら、どんどん読み進めていって。すごく面白かったです。
──SF要素もありますが、軸にあるのは恋愛ですよね。
中川 本格的なSFとなると頭の中で整理しないと分からなかったり、難しい専門的な言葉があったりしますが、いろんな要素があるから読みやすかったです。ただ完成した映画を観たら、意外と壮大なSF作品で驚きました。
──ご自身が演じた碧衣にはどういう印象を受けましたか?
中川 クラスのカーストでトップではあるんですが、誰にでも分け隔てなく優しい明るい女の子で、みんなに笑顔を振りまく優等生キャラ。ただ笑顔の裏には暗い過去があって、それを隠して自分を守るために笑顔でいたのかなという印象を受けました。私自身の高校時代と近いところがあったので演じやすかったです。
──近いところというと?
中川 暗い過去があったわけではないですが(笑)。みんなと仲良くしたいタイプで、自ら手を挙げて、誰もやりたがらない学級委員をやっていました。そんなに難しいことではなかったので、「それぐらいならやるよ」みたいな感じでした。