様々な経験で培われたお笑いの呼吸
──ここからは和田さんのお笑い遍歴をお聞きします。いつ頃からお笑いファンになったんですか。
和田 本格的にお笑いが好きだなと思ったのは大学4年生のときでM-1グランプリの第1回大会です。お笑いが好きなのか、M-1グランプリが好きなのか迷うところもあるんですが、とにかく漫才が好きなんですよ。
──それまでバラエティのネタ番組は見ていたんですか?
和田 ちょこちょこ見ていましたけど、大学時代は寮生活をしていて、消灯時間が早かったので、のんびりテレビを見ることができなかったんです。M-1グランプリと出会って、お笑いを見ることに開眼したんですよね。
──なぜ第1回大会からM-1グランプリに惹かれたのでしょうか。
和田 もちろん小さい頃から「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」や「ダウンタウンのごっつええ感じ」などのバラエティは見ていたんですが、お笑いの賞レースを見る機会が少ない時代だったので、M-1グランプリのドラマチックなところに惹かれたんでしょうね。
──笑い飯はM-1グランプリの第2回大会で初めて決勝進出しましが、いわゆる王道ではないWボケを見て、どんな印象を受けましたか。
和田 未知のものでしたから、なんて斬新なんだと。今でこそセオリーを外した漫才や、変化球的な漫才は多いですけど、当時はオーソドックスな漫才が多い中で、笑い飯さんは衝撃的でした。二人の繰り出すボケが、どんどんテンポが上がっていく様が面白くて大好きになりました。
──笑い飯のネタではどれが一番好きですか?
和田 難しい質問ですが、伝説のネタだと思っているのは2013年の「奈良県立歴史民俗博物館」。それを僕は生で見ていますから思い入れも強いです。笑い飯さんのかっこいいところは、昨年のさや香さんにも通じるところがあるんですが、決勝の第1ラウンドで本気のネタを持ってきて、決勝3組に残ったときに、本気で笑わせに行くというよりも、自分たちがやりたいネタを選ぶんですよね。それで言うと、マリリン・モンローのネタは、初めて見たときはポカーンだったんです。後になってから、見れば見るほど腹を抱えて笑えるんです。そこに美学を感じて、かっこいいなって。
――2本目のネタをやっているときの審査員の反応もいいですよね。
和田 (島田)紳助さんと松本(人志)さんが苦笑いをしながら見ている姿も含めてショーなんですよね。10年目となる最後の年はしっかりとしたネタを2本用意して、文句なしで優勝したのも美しかったですし、安心しました。僕にとっての最初の10年のM-1グランプリは、笑い飯さんを応援した10年でした。
──先ほど芸人さんのトークライブに出演していたお話がありましたが、その前から笑いを取るのは得意なほうでしたか。
和田 当時、僕は事務所の若手男性俳優集団「D-BOYS」のメンバーで、みんな若かったし、アイドルっぽい雰囲気もあって。グループで集まると何となく役割ができてくるんですよ。そうなったときに僕は「笑わす担当」で(笑)。芸人さんではないので、明確なボケとツッコミもなく、特に仲の良いメンバーが二人いて。その3人で僕がボケたら誰かがツッコんで、二人のどちらかがボケたら僕がツッコむみたいなことをやっていたんです。そういうやり取りを人前で見せるイベントも開催していたので、お客さんの前で笑いを取ることは慣れていました。そのときに声のテンションや間合いが磨かれたところもあって。だからトークライブに出るようになったときに、「芸人みたいな喋り方をするな」「芸人の真似事をしても得はないぞ」と芸人さんから言われたんですが、真似しているつもりはないのに、それが染みついちゃっているんですよね。
──その経験が今回の映画の自然さに繋がっていると。
和田 やっと活かされて良かったです(笑)。今後もお笑いから学んだことを武器として使える役があったらいいなと思っています。
Information
『くすぶりの狂騒曲』
新宿バルト 9、イオンシネマほか全国ロードショー中!
和田正人 駒木根隆介
辻凪子 土屋佑壱 永瀬未留 / 徳井義実(チュートリアル) 岡田義徳ほか
監督:立川晋輔
脚本:中村元樹
配給:イオンエンターテイメント 吉本興業
製作:NTT ドコモ・スタジオ&ライブ 吉本興業 テレビ埼玉 the ROOM
Ⓒ2024「くすぶりの狂騒曲」製作委員会
「大宮セブン」が活動する大宮ラクーンよしもと劇場は少ない客、会社からの非難や悪口などなどお世辞にもその扱いは良いものとは言えなかった。追い打ちをかけるようにコロナ禍により劇場などの活動が停止し、収入低下などにより彼らの不安や状況は悪化の一過を辿っていた。そんな中、「大宮セブン」メンバーの「すゑひろがりず」がM-1グランプリで決勝進出をはたし、YouTubeでの活動から人気を得て大宮セブンの活動にも変化の兆しが見え始める。さらに続くようにR-1でのマヂカルラブリー野田の優勝、M-1グランプリでマジカルラブリーが優勝を果たし一気に大宮に注目が集まる。メンバーも各賞レースで結果を残し、大宮セブンの躍進が始まる。しかし初期メンバーであるタモンズは仲間の活躍を横目に、飛躍のきっかけを掴めないまま、手掛かりを掴もうともがき苦しんでいた。現状を打開するためにコンビ名を改名したり、果てには新たにメンバーを追加してトリオになろうとしたり、明確な指針もないまま迷走を始める。そんな彼らの様子を間近で見ていた大宮セブンのメンバーは夜中に相談に乗ったり、自身の問題と重ねたりしながらタモンズを何とか支えるのであった。メンバー間の友情、応援などを経てタモンズは芸人を目指した時の純粋な気持ちを思い出し、ラストイヤーのM-1へ最後の挑戦に挑むのであった。
PHOTOGRAPHER:TOHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:小林純子,STYLIST:田村和之
衣装協力:カーディガン¥7700、カットソー¥6600ともにナノ・ユニバース その他スタイリスト私物 (問合せ先) ナノ・ユニバースカスタマーサービス0120-705-088