笑いと楽しい時間を提供できる物語を作れた

──演出を担当した3人の女性監督も同世代ですが、それぞれ演出の印象は違いましたか?

谷 違いましたが、同年代というのもあって、お互いに「こう思うんだけどどう思う?」みたいな意見の交換がしやすかったです。皆さん褒めてくださる監督さんだったので自信も持てましたし、コミュニケーションも取りやすくて、最後まで楽しくオカザキさんを演じられました。

──ちなみにBLを読んだことはありましたか?

谷 なかったです。現場にBL本を用意してくださったので初めて読んでみたんですが、普通にすんなり入れたというか。そういう世界があるんだと視野も広がりましたし、しっかりと人間ドラマも描かれていて感動しました。

──「つづ井さん」で印象に残っているシーンは?

谷 普段ふわふわしているオカザキさんがキレるシーンです。つづ井さん、オカザキさん、オカザキさんの同級生でイケイケのギャルの女の子3人が偶然居合わせて、オタ活について話すんです。そのときにギャルの女の子が、つづ井さんのことをいじるんですよね。ただオカザキさんは両方の気持ちが分かるので、どちらに肩入れをするわけでもなく状況を伺う。でも最終的に「そんなにオタ活にお金を使うの?」と言われてキレちゃうんですけど、それはギャルの女の子にキレるというよりも、自分が好きなものを守りたいという気持ちが強かったと思うんです。そんなにオカザキさんは自分のことを喋らないけど、つづ井さんのことを守りつつ、そこだけは「私はこう思っているんだけど何が悪いの?」という本音が出たかっこいいシーンで好きです。

──谷さんにとって「つづ井さん」は、どんなドラマでしたか。

谷 5人が5人を愛しているし、個々のことも愛しているし、何があっても平和で、すごく憧れる関係性です。「そこで悩むんかーい!」みたいな、好きすぎるがゆえのツッコミどころ満載の悩みもあるけど、常に平和な物語が展開されていて。見終わった後も平和だし、笑いと楽しい時間を提供できる物語を作れたんじゃないかなと思います。演者側もスタッフさんも笑顔の人が多かったし、ハッピーな気持ちで作れたドラマでした。

──谷さん自身、オタク要素はありますか?

谷 ちょっと違うかもしれないんですが、ハマったらとことんやっちゃうタイプで。一時期キックボクシングにハマって、そのときは週5回くらい通っていました。ご飯なんかも美味しかったら毎日食べたりするし、好きなものはとことんというのは、ある意味オタクなのかなと。

──週5で通っていた頃は、行かないとモヤモヤしたんですか?

谷 週3でも満足だったんですが、週7で来ている人がいると聞いたときに、「忙しいとか言ってらんない!」と謎に火が付いちゃって(笑)。

──どのぐらいキックボクシングに通ったんですか。

谷 3年ぐらい通ったんですが、コロナ禍でそこが一旦お休みになっちゃって。そのときに出会ったピラティスを今も続けています。上手くスイッチできました。