ミュージカルとの出会いがお芝居でやっていこうと思ったきっかけ
――ここからは俳優としてのキャリアについてお伺いします。AKB48に入る前から、お芝居に興味はあったんですか。
田野 グループに入ったときは、お芝居に触れる人生を送るなんて考えたことがないぐらい興味がなくて。ただ私は芸能科のある高校に通っていたので、周りにたくさん俳優さんがいて、友達の出演した作品やAKB48の先輩の舞台を観に行かせていただく機会が多くて。自然とお芝居をやってみたいと思うようになりました。
――グループ時代から田野さんはお芝居の上手さに定評がありましたが、早い段階で自分に向いているなという感覚はあったのでしょうか。
田野 表現することが大好きだし、生で歌やダンスを見てもらうのも喜びですし、そもそも人前で何かをするのがシンプルに好きなんです。もちろんお芝居を始めた当初は、分からないことばかりで戸惑うことも多かったんですが、いろんな作品に出させていただくうちに、自分とは違う人間の感情を考えて悩んでという作業が面白くて。それでお芝居が大好きになりました。
――田野さんはAKB48在籍時からミュージカルに力を入れていましたが、最初から楽しさはありましたか?
田野 お芝居が楽しいと最初に思えたのがミュージカルでした。大変なことばかりだったんですが、全く知らない世界に放り込まれて、挑戦することや悩むことが楽しかったんですよね。
――ターニングポイントになった作品は何でしょうか?
田野 2015年に出演した、私にとって初のミュージカルとなったスーパー・ソウルフル・ミュージカル『ウィズ〜オズの魔法使い〜』です。
――AKB48グループ・メンバーオーディションを経て、梅田彩佳さんとのダブルキャストで主演のドロシーを演じた作品ですね。
田野 当時17歳で、宮本亞門さんがどれだけすごい方なのかも、亜門さんの作品に出たい人がたくさんいることも知らなかったんですが、逆にそれがプレッシャーにならなくて良かったのかもしれません。
――どういうところに亜門さんのすごさを感じましたか?
田野 亜門さんの指導はパッションに溢れていて、私たちと一緒の目線になって、自分自身が役になりきって教えてくれるんです。歌っているときも「もっともっと!」と隣で言ってくれるから、自然と乗っかれるんですよね。言葉でバーっと言うのではなくて、パッションで教えてくれるから分かりやすかったですし、たくさん悩んだ期間でもありましたが、それ以上に楽しかったです。もっといろんなお芝居をしたいと思うきっかけにもなりましたし、その頃にはグループ卒業後はお芝居でやっていこうと考えていました。