AKB48にいた子という目で見られる戦いは今も続いている
――AKB48を卒業しようと決断したのは、どういうタイミングだったのでしょうか。
田野 もともとグループは20歳までだなと思っていたんです。いろんなタイミングも重なって、20歳で卒業することはできなかったんですが、当時所属していたチームKを最後にしたいと思っていたので、そのタイミングで卒業させていただきました。
――ソロで活動していくプレッシャーはありましたか?
田野 グループに在籍していた頃から、いろんな外仕事をやらせていただいていたんですが、「今はグループがあっての田野優花だから、ここを出たら押し潰されるかもしれない」という不安もあったんです。ただ、そういう経験を早くしたい気持ちのほうが強かったので、そういう意味ではわくわくのほうが大きかったです。
――卒業後、すぐに気持ちは切り替えられましたか。
田野 できました。グループに在籍していた頃の外仕事はAKB48のメンバーという見られ方をするから、もしかしたら私の評価がグループの評価に繋がるかもしれないと誰しも思うんです。そういうプレッシャーが毎回あったので、肩の荷が下りたという感覚だったんですよね。ただソロになったらなったで、「AKB48にいた子」という目で見られるから、「こんなこともできるんだ」と良い方向に持って行きたいですし、そことの戦いは今も続いています。
――卒業後は舞台を中心に活動されていますが、今後、映像のお仕事を増やしていきたい気持ちはありますか?
田野 やりたいです!もちろん舞台も好きですが、そこまで私は映像の経験がないから、もっと勉強したいですし、いろんな作品に出たいです。今回の『ぼくらのふしだら』は短い撮影期間だったので、あまりリハーサルもできないし、何テイクも重ねられない。だからこそ、みんながギュッと集中してシーンを作り上げる空気感があったので、映画の現場ならではの楽しさも感じられました。
――完成した『ぼくらのふしだら』を観た感想はいかがでしたか。
田野 完成するまで、どんな風に仕上がっているのか不安だったんですが、観ているうちに自然と「美菜実ちゃんを救いたい!」と入り込んでいたので、自分のお芝居は間違っていなかったんだと安心しました。
――最後に見どころをお聞かせください。
田野 何かを手に入れるには代償がある怖さを想像しながら観ていただけると、より入り込める作品だと思います。役者さんもスタッフさんも覚悟を持って撮影したので、劇場で見届けてくれたらうれしいです。
Information
映画『ぼくらのふしだら』
テアトル新宿ほか全国順次公開中!
出演:田野優花、かれしちゃん、植村颯太、木村葉月、石川翔鈴、岩永ひひお、中村公隆、もりゆうり
監督・脚本:小林大介
原作:大見武士「ぼくらのふしだら」(少年画報社「月刊ヤングキングアワーズ GH」刊)
制作プロダクション:NeedyGreedy
製作:映画『ぼくらのふしだら』製作委員会
配給:フルモテルモ
©大見武士・少年画報社/映画『ぼくらのふしだら』製作委員会
自分に自信が無く、劣等感の塊である結城美菜実(田野優花)は、大学受験を控えた高校三年生。仕事もせずに酒におぼれている父親の元から離れ、希望の大学に進学し望む未来をつかむために、 彼女には“時間”が必要だった。「その望みを叶えてあげる……」。人ならざる存在〈ササヤキ〉(かれしちゃん)は突然現れ、美菜実に“時間を止める能力”を授けるが、その代償として彼女に止め処ない“性欲”をも与えるのだった。時間を停止させるたびに太腿に刻まれた性欲のカウンターが上がっていく。鎮めるために美菜実は激しい自慰を繰り返し、幼なじみの鏑木真一(植村颯太)に体を預ける。美菜実の毎日は次第に彩りを持ち始めるが、彼女の心は徐々に黒く染まっていく。その果てに、どんな結末が美菜実を待ち受けるのか……。
田野優花
1997年3月7日生まれ。東京都出身。2011年、AKB48第12期オーディションに合格。2014年、宮本亜門演出のミュージカル「ウィズ〜オズの魔法使い〜」の主人公ドロシー役に選出。2017年10 月公開の『リンキング・ラブ』で、映画初出演にして初主演を務める。2018年8月、AKB48 を卒業。映画では、『13月の女の子』(2020/戸田彬弘監督)、『近江商人、走る!』(2022/三野龍一監督)、舞台の近作は、2024年5月「ROCK MUSICAL BLEACH」に朽木ルキア役、7月「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle Rule the Stage -Renegades of Female-」にツクヨミ役で出演した。
PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI