クランクインまで3週間ちょっとで7キロ落とした

――ドラマ「レッドブルー」のオファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか。

椿泰我(以下、椿) ドラマのお話自体が子役ぶりで。最後に出演した作品も小学3、4年生の頃でしたから10数年ぶりで率直に驚きました。しかもMMA(総合格闘技)がテーマということで「ヤバいな……」と。今まで総合格闘技に全く触れてこなかったですし、できれば人生で一度も人を殴らず死にたいと思っていましたから(笑)。

――しかも椿さんが演じる赤沢拳心は、U-18全国大会チャンピオンという役柄です。

椿 お話をいただいたタイミングは体が仕上がっていなくて……。昨年6月にライブを終えて、次のツアーが2025年ということで、体が休憩していたんです。油断していた訳ではなかったのでぶよぶよではなかったんですが、総合格闘技ということは絶対に脱ぐよなと。それほど準備期間もなくて、どうしても練習回数が限られる中、どう説得力のある体を作ろうかと考えました。

――具体的にどんな体作りをしたのでしょうか。

椿 もともとお世話になっているパーソナルの方にアドバイスをいただきながら、キックボクシングのジムに通って。クランクインまで3週間ちょっとで7キロ落としました。ただ拳心は空手からMMAの世界に行ったので、キックボクシングとはフォームが違うんですよね。原作マンガがあって、それに則って役作りをしなきゃいけないので、原作への敬意も込めてできる限りの調整をしました。

――3週間で7キロ減はハードですね。

椿 今まで電車移動していた距離もチャリで移動するとか、常に有酸素運動を取り入れて、食事も油を控えて、無水鍋や鶏肉・卵などを中心に食べました。あと食べていいお野菜をパーソナルの方に聞いたら、「根菜は駄目だ」と言われて、それが一番つらかったです。というのも僕、フライドポテトアンバサダーの資格を持っているんですが、アンバサダーとして週一でフライドポテトを食べなきゃいけないんです。この撮影期間で資格をはく奪されるなと(笑)。

――他のキャストと初めて会ったタイミングはいつですか?

椿 全員参加の格闘練習のときです。それまで誰にもお会いできなかったので、皆さんがどれくらいの体なのかも把握できてなくて。どこまで自分を追い込めばいいのか、ゴールも見えなくて極限状態でした。

――初めての格闘練習はいかがでしたか?

椿 皆さん仕上がっていたので、ここまで自分もやっていて良かったなとホッとしました。ポスター撮影のときにカメラマンさんと監督に「いい感じに仕上がっているね」と褒めていただけて、見た目は一旦クリアしたので、これをキープしつつ、どう作品に入り込んでいけるかに頭を切り替えました。

――キャストにいろんな男性グループのメンバーが集まるという環境はいかがでしたか?

椿 なかなかIMP.のメンバー以外で、同年代の人たちと関わる機会がないのでワクワクしました。「レッドブルー」のキャストは人見知りが多いんですけど、その中で僕は明るい役柄だったので、「自分が行かなきゃ!」と思って積極的に話しかけました。

――ご自身と拳心で共通する部分はありますか?

椿 自分で言うのもなんですが、グループ内でも元気で明るい立ち位置なので、そこは共通しているのかもしれません。ただ拳心のように、根っからの主人公キャラを演じるのは難しいんだなと痛感しました。自分からアクションを起こさなくても周りがついてくるような屈託のないリーダー感は、マンガだと伝わりやすいのですが、いざやってみると底抜けの明るさが空っぽに見えちゃう部分があるんです。そこは監督にご指導いただきました。

――屈託のないリーダー感というところで参考にした方はいらっしゃいましたか。

椿 IMP.の影山拓也です。メンバーカラーも拳心と同じ赤ですし、ちゃんと信念があって、真っ直ぐで明るい性格で、黙っていてもついていきたくなるようなリーダーなんですよね。改めて影山の素行を見たときに、何も考えずに馬鹿ができるのは才能だなと思って(笑)。本当に少年マンガから飛び出してきたようなキャラなので、これを真似るにはマインドを変えるしかないなと思いました。