試行錯誤して作った「はじまり」と「おわり」の曲

――『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』のオープニング・エンディング主題歌を依頼されたときのお気持ちからお聞かせください。

じん まず、プロジェクトセカイ(以下、プロセカ)が映画化するというお話とエンディング主題歌制作の依頼を同時にいただいたので、「え!映画化するの?すごい!」という気持ちと「責任重大だ……」というプレッシャーがどちらも入り乱れていました。これ、僕がやらかしたら台無しになるやつだ、と。

sasakure.UK 僕はプロセカのヘビープレイヤーなので、一番にわくわく感が大きかったです。大好きなゲームがアニメーションになると思うと楽しみで。「司くん(※ユニット「ワンダーランズ×ショウタイム」の天馬司)が動いて歌ってるところが見られるんだ!」と。でもオープニング主題歌を担当すると思うと、やはりじんさんと同じく緊張感がありました。

――曲作りはどのように進んでいったのでしょう?

じん 僕の担当したエンディング主題歌「Worlders」はキャラクター総勢26人で歌う曲です。そんな大人数で歌う曲を作ったことがなかったので、最初は悩みました。一つの物語の終わり、だけど、そこからまたきっと何かが始まる。終わりでありながら始まりも予感させるような曲を意識して作っていきました。

――制作にはどのくらい時間がかかったのですか?

じん 僕一人ではどうにもならない部分をアレンジャーとしてTeddyLoidさんのお力を借りながら、レコーディングまで全部含めると5、6ヶ月はかかっています。ただ、レコーディングでの声優さんたちの歌の部分に関しては特に何も指示は出していません。それぞれのキャラクターらしく、そのまま歌ってほしいと思いました。

じん

――オープニング主題歌「はじまりの未来」はsasakure.UKさんと40mPさんとのコラボレーション楽曲です。

sasakure.UK 40mさんとはたくさん話し合って、物語の幕開けにふさわしい楽曲になるよう方向性を確認し合いながら、交換日記形式で曲作りを進めていきました。二人で目指す世界観を共有して、作り始めてからはお互いに「伝わっている」という感覚があり意外とスムーズに進んでいきました。

――完成したお互いの曲を聴いてどう思われましたか?

じん 僕、最初は聴くのが楽しみでもあり、少し怖くもあったんですよ。

sasakure.UK え!?そうなんですか?

じん sasakureさんも40mさんもそれぞれ独自の色を持ってらっしゃるし、何より僕の大好きで尊敬しているボカロPのお二人です。だからこそ、一体どんなものが出来上がるのだろう、と。ドキドキしながら実際に聴いてみたら、あまりに素晴らしい曲で言葉を失いました。sasakureさんと40mさんの持ち味が最大限に活かされているどころか、さらに増している!

sasakure.UK ありがとうございます。僕も「Worlders」を聴いて感動しました。僕は高校時代、男声合唱をしていたので、みんなで歌う曲に弱いんですよ。中でも“ドレミを重ねて”という歌詞が良いですよね。

じん そう言っていただけてうれしいです。まさにその部分が全てだと思っています。全ての音楽は「ドレミ」から始まりますからね。