歴史上の人物を演じる上で、役と誠実に向き合いたい
――今年2月、来年1月にスタートするNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の出演が発表されました。まだ撮影は先とのことですが、実感はありますか。
倉沢杏菜(以下、倉沢) 発表されたときに、たくさんの反応をいただいたので実感もあるのですが、ふと冷静になったとき、「本当に私が、こんな大きな役を演じるのだろうか……」という思いに駆られるときもあります。錚々たるキャストの方々が名を連ねている中で、私も今回出演させていただけるということで、正直不思議な感覚もありますが、作品を届ける一員として、しっかりと自覚を持って、地に足をつけて演じられるように頑張りたいと思います。
――昨年の「光る君へ」の出演が決まったときとは、気持ちも違います?
倉沢 「光る君へ」は唐突にいただいたお話だったので予想外の衝撃でした。今回は役が決まる前に準備期間があったんです。なのであさひ役に選んでいただけるように、万全の準備をしようと思って、私が演じる「あさひ(朝日姫)」のお墓がある京都の東福寺まで行って、お墓参りをして、文献などを読んであさひの人生も学びました。出演が決まったとお話をいただいたときは本当にうれしかったですし、思わず泣いてしまうような驚きと喜びがありました。
――ご家族の反応はいかがでしたか?
倉沢 もちろん喜んでくれましたが、私以上にピンと来ていないと思います(笑)。ただ私が準備している様子を見ていたので、「結果に繋がってよかったね」と喜んでくれました。
――あさひはどんな役なのでしょうか?
倉沢 豊臣兄弟(豊臣秀長・豊臣秀吉)の妹で、史実では最初は農民に嫁ぐのですが、秀吉の出世と共に、後に徳川家康と政略結婚することになります。
――クランクインまで、かなりの準備期間があるんですよね。
倉沢 こんなに準備期間をいただけることは、なかなかないことだと思うので、この期間を最大限に活用して万全の状態で挑めるようにしたいです。
――お墓参りには一人で行かれたんですか?
倉沢 一人で行こうと思っていたのですが、東福寺は少し人気の少ない場所にあって、ちょっと不安だったんです。そしたら母が「一緒に行ってあげる」と言ってくれたので同行してもらいました。
――お墓参りに行くことで役作りにどんな影響がありますか?
倉沢 まだ私は歴史上の人物を演じる経験が少ないので、誠実に向き合いたいという気持ちでお墓参りに行きました。心構えが変わるというか、ちゃんと役に向き合っている感覚になりますし、その場で感じたものが役作りに生きてくると思います。「光る君へ」で藤原妍子を演じるときも、クランクインの前に京都御所という藤原家が住んでいたところに行ったのですが、撮影場所に入ったときに、室内だけではなく外側、風や温度感までイメージすることができました。