歌と踊りとお芝居には繋がるものがある

――お芝居に興味を持ったきっかけを教えてください。

阿部 10代のときに「近キョリ恋愛〜Season Zero〜」(日本テレビ)というドラマで初めて主演をやらせていただいたときくらいからです。たくさんの人が動いてくれましたし、「代わりがいない」というのはこういうことなんだなと責任を感じました。高校1年生だったのですが、それまで部活感覚だったのが、お仕事というものがどういうものなのかを知ったきっかけです。

――この世界に入るときは、お芝居に興味はなかったんですか。

阿部 全然なかったです。当時は野球しか興味がありませんでした(笑)。

――演じることの抵抗感は?

阿部 不思議となかったです。ただ最初は言われた通り、指示されたことだけやっていたんです。でもそれだけじゃつまらないなと思うようになって。監督からも「自由にやって」と言われる機会があり、演技指導してもらいながらも、自分なりに考えてやってみたり。当時はお芝居よりもダンスのほうに力を入れていたのですが、振り付けされたダンスではなく、フリーで踊る自由演技のような感覚で演技に取り組んでいました。歌と踊りとお芝居には繋がるものがあると感じていましたし、それぞれの経験が活きているなと感じています。

――歌、ダンス、演技、どれも表現することですからね。

阿部 歌もダンスも“演技”というぐらいなので、どれも繋がっています。メソッド演技も最初に体の動かし方や制御の仕方から習うと聞きますし、そこは全てに通じるものがあると思います。どの分野も経験することで、それぞれがより深まっていると実感しています。

――演技に対する情熱は変化しましたか?

阿部 より強くなっていますね。作品を通じて初めて出会う方々との交流もありますし、自分が好きな人たちと一緒に楽しめる作品を作る過程が面白いです。お芝居をしているときだけではなくて、打ち合わせなどの時間も含めて、みんなが同じ情熱を一つの方向に向けていけるのはやりがいがあります。

――ターニングポイントとなった作品は?

阿部 やっぱり映像は「近キョリ恋愛〜Season Zero〜」ですね。舞台に関しては、去年初めて自分がプロデュースから関わった東洋空想世界『blue egoist』が大きかったです。舞台作品がどのように作られていくのかを学ぶ機会になりました。

――プロデュースに携わったきっかけは?

阿部 「プロデュースしてみない?」と声をかけていただいて、「ぜひともやらせてください」ということが始まりで。出演者側だけでは分からなかった裏側の苦労や、良い作品にするために動いてくれる多くのスタッフの存在を肌で感じることができました。貴重な経験でした。

――映像と舞台、演技の面で意識することの違いはありますか?

阿部 舞台は同じことを何度も繰り返すので、回数の違いはありますが、基本的には変わりません。ただ、舞台はその場で多くの人に届けなければならないので、身体的な表現や声量は映像と違ってきます。でも根本的な大事なところは一緒です。

――グループ活動の変化に伴い、お芝居に向けての覚悟は変わりますか?

阿部 正直、グループにいてもいなくても、僕のお芝居への思いは変わっていないので、特にぶれることはないですね。