ワンマンライブのサブタイトル“invert”に込めた思い

――そして、カップリング曲が「Deep Night Whisper」ということで、どちらも“夜”の歌なんですね?

山崎 「ロンリーパーティーナイト」を先に作って、カップリングをどうするか?という話になった時に、別に寄せたわけではないんですけど、ワンマンライブの雰囲気を考えたら、可愛らしい曲よりも落ち着いた雰囲気や大人っぽい要素の方が合うかなという話になりまして…。それだったら、朝のキラキラ感よりもしっとりした感じの方が合うかなということで、気付いたらどちらもナイトになりました(笑)。

――「ロンリーパーティーナイト」がカタカナ表記なのに対して、「Deep Night Whisper」は英語表記、しかも“Whisper”ということなので、また違ったアプローチになっていますよね?

山崎 実は、私がずっとやりたかった歌い方なんです。普段からよく私の囁き声が好きだとか、よく眠れそうな声だとか言っていただくことが多かったので、それを歌で表現して作品として出せたら、ファンの皆さんにも喜んでもらえるんじゃないかなと思っていました。しかも、今回は2曲の歌い方の対比も楽しんでもらえると思っています。特に「Deep Night Whisper」の方は、憂いと言いますか、寂しそうな様子を声で描けるように、独り言を呟くように囁くということを意識しながらレコーディングしました。

――“独り言を呟くように”という表現がとても分かりやすいですね。山崎さんにとっては、このような歌い方は初挑戦だったのですか?

山崎 可愛らしく小さく囁くような歌い方は過去にもありましたけど、もどかしい気持ちや焦がれる想いのようなものを感情で伝えるという、今回のような表現の仕方は今までの私の楽曲にはなかったと思います。最初はどうやって歌おうか?と結構悩んでいたんですけど、レコーディングのマイクは自分の目の前にあるので、イメージはしやすかったです。このマイクが耳なんだと思って、直接そこに語りかけるように主人公になりきって歌ったという感じです。レコーディングはすごく新鮮で楽しかったんですけど、徐々に苦しくもなりました。

――苦しくなった!?それはどういうことですか?

山崎 ひとつひとつの歌詞があまりにも切な過ぎて…。自分にも刺さったということではないんですけど、1番2番と歌詞が続いていくごとにストーリーが進んでいくので、誰か早くこの主人公を救ってあげて!と思ってしまいました(笑)。

――実際にファンの方の反応や反響はいかがでしたか?

山崎 どちらの曲もすごく好きだと言ってくださる方が多くて嬉しかったです。2曲の表現の差に注目して聴いてくださる方もたくさんいらっしゃったので、夜というひとつのテーマではありますけれど、方向性を変えたことで、より楽しんでいただけたのかなと思っています。

――では、ここからは、5月18日に開催されるワンマンライブ『山崎エリイ 7th LIVE 2025 ~invert〜』のお話へ。今回もサブタイトルが付いていますが、どのような思いが込められていますか?

山崎 サブタイトルは基本的に私が毎回決めています。過去のライブに関しては、童話だったり、テーマパークだったり、私が好きなものに関連付けてイメージを作っていたので、そのライブを想像できるようなワードを入れることが多かったんですけど、今回はダークやクール、アンニュイな楽曲を主役としたワリイの世界観を表現したライブなので、長いタイトルではないなと思って、やりたいことを短く明確に伝えられる言葉って何だろうかと考えました。でも、直接的な言葉も違うなと考えていた中で出てきたのが、この“invert”という言葉でした。“反転”という意味なんですけど、今回は山崎エリイのライブだけど山崎エリイが主役ではなく、ワリイというもう1人の小悪魔チックな女の子が主役ですよという意味合いや今までのライブの雰囲気やイメージが反転しちゃうかもしれませんよというメッセージが込められています。

――これはパッと思いついたのですか?それとも、結構悩みましたか?

山崎 かなり時間がかかりましたね。最初に、“二面性”という日本語が浮かんだので、それをよりかっこいいタイトルで表現したいな、スタイリッシュさも欲しいなと思って、どんどん言葉を挙げていって、検索したり調べたりして、語感とかにも拘ってようやく辿り着きました。毎回タイトルは悩みますけど、今までで一番悩んだかもしれないですね。でも、“invert”を見つけたに時は、コレだ!と思いました。