これまでの活動を振り返るアルバムに
――1st Digital AL「water badge」について 作品のテーマやコンセプトを教えてください。
Kanan これまでのmonjeの楽曲から新曲までを振り返るアルバムになっています。これまで色々な“作り方”をしてきたなと思っていて、私も森山君も音楽以外のものづくりもしますし、音楽も1つの手段として制作している部分もあるなと感じました。
――「ジャンル」がキーワードになっていますが、どのように捉えていますか？
Kanan これまで「Genre（ジャンル）」を意識して作っていたなということも、新しい発見でした。ジャンルって“枠組み”みたいな側面があって、例えば「バラードだったらこういう感じ」とか「ドライブソングみたいなのを作ってみよう」という感じで、枠組みを最初に決めてから曲を作っていました。その上で「これまでに無いドライブソングを作ってみよう」という感じで枠組みを意識しながらもあえてはみ出したり、枠組みがあるからそこから遠ざかれたり。そういう行き来の中で制作をしていたんだなと思ったんです。
――枠組みがあるからに、はみ出すことも出来るというか。
Kanan 基準を置くことによって、飛び出すことも出来るし、戻ってくることも出来る、そんな「ポート」があるんじゃないかな、という気持ちで今回のアルバムを作りました。
――森山さんと制作する際は、最初にそういった話をしてからスタートするのですか？
Kanan ジャンルという言葉でやりとりしたことは無かったです。でも「バラード」とか「ドライブソング」といった枠組みについては意識して制作していると思います。森山君は制作にのめり込んでいくと、どこまでも行けてしまうというか、クリエイティブをどんどん広げていけるタイプの人で。迷ったり、手が止まってしまった時に、立ち返れるような場所として枠組みを決めていた印象があります。それが私たちの特徴だと思いますし、枠組みを知ることによって、今後も飛び出していけるんじゃないかなって思いました。
――monjeというユニット自体がすごく自由であり、でも強いmonjeらしさがありますものね。
Kanan ありがとうございます。音楽、アート、表現、それぞれの大きな枠組みすらも行き来していて、これからももっと行き来する活動をしていきたいと思いますし、monjeという存在が色々な人や表現の架け橋になっていけたら良いなと思っています。
――制作にあたっての特にこだわったことや苦労したことなど、制作時のエピソードがあれば教えてください。
Kanan 初アルバムなので、これまでの活動を振り返る意味でも、大事な曲たちを集めています。収録曲を決めるのはスムーズに進みましたが、タイトルはコンセプトからしっかり決めようと思い、monjeの特徴について話し合いを重ねました。制作時にはガチなディベートをするのですが、喋っている言葉だからアイデアもどんどん流れていっちゃうこともあるので、今回は大きな画用紙を買ってきて、そこに色々と書きながら進めました。
――実際にどんなことが書かれていったのでしょうか。
Kanan これまで作った曲のコンセプトとか、自分たちが思うイメージみたいなものを文字でも図形でもどんどん書いていきました。その中に「肩書き」という言葉が出てきて、それに相反する言葉を書いて組み合わせていって。「water badge」という言葉は造語なのですが、肩書きとか枠組みをいったニュアンスもある「badge」という言葉と、枠にとらわれずながれていく「water」という反対のイメージを組み合わせています。表現したいことにスッと当てはまるタイトルが出来上がって嬉しかったです。
――ちなみに、その時に使った画用紙は保存してあったりするのですか？すごく見てみたいなと思いました。
Kanan どうだったかな、捨てちゃったかもしれないです（笑）。確かに私も美術展に行ったりすると、ちょっとしたラフとか絵の具のカスとかが展示されていて「よくとってあったな。でも見られてありがたいな」と思うので、次は、綺麗に保存してみようかなと思います（笑）。
