あえてテンポ120を超える曲は作らないようにしていた

――森山さんは今年3月に藝大を卒業したんですよね。

森山瞬(以下、森山) まさに今日、卒業式でした(笑)。門の前で写真だけ撮って、ここに来ました。今後は音楽一本で活動していきます。

――Kananさんは昨年3月に卒業して、就職したんですよね。

Kanan 一年間、会社員をやりながら、並行して音楽活動を続けていたんですが、今年に入って仕事を辞めて、私も今は音楽活動に専念しています。

――4月17日に2nd EP『遊歩道』を配信リリースしますが、前作の「Fragrance」から半年以上、時間が空きました。

森山 大学で卒業制作の作品を作っていたので、鳴りを潜めていました(笑)。

Kanan この一年間、楽曲のリリースは少なかったんですけど、ちょこちょこライブはやっていて、その両立が個人的には難しかったんですよね。だから、森山も大学を卒業するということで、会社を辞める選択をしました。

――森山さんは早い段階で、音楽活動一本でやっていこうと決めていたんですか。

森山 そうですね。就職するのも生き方の一つでしかないなっていうフラットな感覚でした。

Kanan うちの大学は森山のようなスタンスの人が多いんですよ。

森山 僕も大学に入るまでは、就職するのが当たり前のことかなと思っていたんですけど、周りの環境もあって、就職しないという選択もいいかなと。

――『遊歩道』の制作はいつ頃から始まったんですか。

森山 昨年末で卒業制作と卒論を終えて、年明けから一気に作りました。

――1曲目の「MUTEKI」はアップテンポで開放感のある、これまでのmonjeにはないタイプの曲です。

森山 長い間、monjeでものを作っていなかったのもあって、これまでとは違うことをやって、進化したい気持ちがあったんですよね。今まではテンポ120を超える曲は作らないようにと自分の中でセーブしていて。というのも僕はブラックミュージックが根っこにあるから、自分の主戦場がそっちにある気がして、むしろそうじゃない自分を探索していたんです。だから今までは大体100以下の、ゆったりめの曲が多くて。

――この曲のBPMは?

森山 「MUTEKI」は143あって、めちゃくちゃ速くなりました(笑)。歌で引っ張っていく曲にしたくて、ロックサウンドのテイストもあるけど、抜け感もあって。激しいんだけど大人びているみたいなところを狙いました。

――曲先と詞先では、どちらが多いんですか。

森山 ちょうど半々ぐらいで、お互いに相談しながら決めているんですが、「MUTEKI」は曲先で作りました。

――今までのmonjeにないテンポ感なので、詞の乗せ方も変わりますよね。

Kanan 初めて音源を聴いたときに「めっちゃ速い!」とビックリして。今までmonjeがやってきた音楽と違う角度の曲だなという印象があったので、そこを意識しながら歌詞を書きました。私自身、10代のときにJ-ROCKをたくさん聴いていたので、そこまで違和感はなくて、前のめりなことを言っても、このメロディーなら大丈夫かなと思って、勢いのまま歌詞を書きました。

――曲先の場合も、詞ができあがった後に、アレンジを加えていくんですか。

森山 大体そうです。詞が入った後に整えることが多くて、曲によっては、コードを変えることもあります。2曲目の「瞳」も、がっつり歌詞が入った後、それに合わせて、かなりコードを変えました。

――テンポが速くなったことで歌い方も変わりますよね。

Kanan レコーディングのときに、紙に印刷した歌詞を改めて見たら、真っ黒で、いつもよりも言葉が詰まっているなと。エンジニアさんからも「いつもの歌詞の3倍はあるね」と言われるぐらいで、速さに負けないように歌いました(笑)。

――森山さんから歌い方を指示することはあるんですか。

森山 歌い方のニュアンスなど、基本的なことはお任せしていて。実際にボーカルを録って、聴いてから曲にハマるかどうかをジャッジします。その上でノリやリズムなど音楽的なことに関して、具体的に僕の意向を伝えます。

――森山さん以外の方から、ボーカルのディレクションが入ることは?

Kanan ほぼないです。二人で何度も何度もやって、めちゃくちゃ煮詰まったときに、スタッフさんが手を差し伸べてくれます。そういう緊急ボタンみたいなことが、たまにあるぐらいですね。