作品作りでは「人と話すこと」をすごく大事にしている

――リード曲「Coyote」ですが、どのような楽曲になっていますか?

Kanan 紙に書きながらのディベートするのは楽曲の制作でも行っていて、その中でヒントを得た楽曲です。一緒に作品を作っている仲間たちと話しているときに、ドライブの時にかけられる様な曲を作りたいなということになりました。そこから、ドライブといえば疾走感を感じられるようなものがいいよね、みたいな感じで、連想ゲームみたいになって。

――疾走感に対してはどのようにイメージを膨らませたのでしょうか。

Kanan 森山君が普段、クルーザースケボーという、技をしないスケートボードで都内を移動していて、いつもすごく身軽なんです。車だと意外と速すぎるし、自転車だと行けない道もある。でもクルーザーならどの移動手段にもない面白さがあるという話を聞いて。路地裏をどんどんすり抜けていく身軽さが、森山君そのものだなと思ったし、疾走感にピッタリだと思いました。そのイメージで楽曲を作ろうと決めてから、ヴィジュアルを共有し、歌詞や音楽を作ってもらいました。

――どの季節にも合うと思うのですが、特にこれからの季節にピッタリすぎる気持ちの良い楽曲だなと思いました。

Kanon 本当にそうだと思います。春から初夏にかけてというか、この季節にピッタリですよね。

――「Kempa!」、「Marrakech」についてはいかがですか?

Kanon 私は音楽でも音楽以外でも作品作りの際には、人と話すことをすごく大事にしていて。人との関わりの中で気付いたことを形にしていくことが多くて、ここ最近は特に意識しています。「Kempa!」は年代の近い服のデザイナーさんと話した時に、「違う仕事をしていても、これぐらいの年代の時に悩むことって一緒なんだね」みたいな話で盛り上がって。その会話の中で出てきたキーワードを歌詞にいれています。「Marrakech」も一緒に作詞している仲間と会話しながらイメージを膨らませていきました。振り返ると、誰かと話しながらものづくりをしているんだなとつくづく思います。

――「Fragrance」のようなもともとある言葉から、「Kempa!」の様な音から生まれているタイトルまで、どれも違うのに、どれも“らしさ”があるのが素晴らしいなと感じました。

Kanan 「衣食住」というepを出した時期に、すごく意識してタイトル付けをしていました。スペインに住んでいた時期があって、スペイン語とかラテン語系を少し話せるんです。スペイン語と日本語は響きが似ていて、子音と母音の構成がすごく似ています。日本語をローマ字に直してみると、スペイン語っぽくなったり。9曲目の「mi」というのは、スペイン語では「私の」という意味で、私が個人的によく考えている“身体”についてとも意味が合うし、日本語では「身=み」という意味にもなる。ローマ字に変えてみるだけで、色々な意味が広がっていくのですごく面白いなと思っています。