何が起きても大丈夫なメンタリティをチーム全体で作っていくことが大事
──初めて行く地方もありますが、会場ごとに音の聴こえ方も全く違うと思います。どのようにバランスを取っていますか?
Novel Core 外に関しては、PAチームを信頼しているので、「任せたぞ!」という感覚です。中に関してはイヤモニしてようが、ウェッジでやってようが、会場によっては超デッドに聴こえるところもあれば、超ボアボアしちゃって何も分からないところもある。フェスだとサウンドチェックもできないことがザラなので、どんな環境でも歌えるように、僕たち側が鍛えないといけないと思っているので、環境に甘えないようにしたいなと。チームのメンバー、音響スタッフの皆さんと仲間たちに信頼を置きつつ、僕たち側でできることもしっかりとやる。たとえばKOTAくんが手元のイコライジングでできることなどを話し合いながら、「ここはもう少しミッドが出るようにならないかな」とか、「あまりスーパーローが出ていないから迫力がなさそうだね」とか、気になったことは、その都度話し合うようにしています。
──PAチームは固定なんですか?
Novel Core 大体同じチームで回っていますが、それが当たり前だとは思わないようにしたいというのがあります。現地のPAさんや照明さんと密にコミュニケーションを取って、良いライブを作りましょうという感覚もツアーでは大事です。実際に過去のツアーではPAチームや照明チームが帯同できずに、前半の5公演は現地の方々とやるみたいなこともあったので、その時々の環境に合わせて自分たちができる最大限のことをするべきだと思っています。それはパフォーマンスに限ったことではなく、チームで動いている以上、移動の部分など諸々含めて、何が起きても大丈夫なメンタリティをチーム全体で作っていくことが大事なこと。もちろん上手くいかないときもあるし、公演の動員数やチケットの売れ行き、僕の楽曲の再生数などが調子よく走っているときはいいんですけど、当然浮き沈みがある。上手くいかなくなって規模感が縮小したり、今までできていたことができなくなったりしたとき、それを不便と感じるか、もしくは環境に合わせて自分たちができることを最大限やるという気持ちに切り替えるかは自分たち次第。そこは自分たちでメンタリティを強くしていきたいというのがあります。
――今回のツアーのグッズについても教えてください。
Novel Core Tシャツ、スタッズフーディー、タオル、バンダナ、ネイルステッカーと完全新作のグッズを5種類制作しています。今回は原点回帰をテーマにしたツアーなので、「A GREAT FOOL TOUR 2022」の頃に出した真っピンクのタオルを、違うデザインで改めて作っています。だからカラーリングなどは当時を意識していますね。スタッズフーディーは僕が最新のアーティスト写真で着ているもの。ネイルステッカーは、僕が「ネイルオブザイヤー」を獲ったときのネイルデザインをステッカーにしています。ファッション、アートなど、音楽以外の僕のアイデンティティもふんだんに詰め込んだラインナップです。もしかしたらツアー中にラインナップが増えるかもしれませんし、過去のグッズを持って行く可能性もあります。原点回帰というタイミングは人生の中でも数回しかないと思うので、過去のものにも改めて意味が出てくるのかなと考えています。
――この連載が始まって7月で1年経ちますが、考え方や価値観に変化はありましたか?
Novel Core いっぱい変わりました。特に「何をもってかっこいいのか」という概念は自分の中でだいぶ変わりました。それは人との出会いが大きいと感じています。最近はJESSEさんを始め、バンドマンの人たちとの出会いや、今まで自分が戦ってきた畑とは違うところの先輩たちとの出会いが増えました。同じ日本の音楽業界の中でも、こういう戦いをしている人たちがいるんだなということから感じることがたくさんあります。またスタッフさんも増えていて、スタッフさんとの会話や、BMSGの他のアーティストたちの動き方を見ても刺激を受けています。成長できているかは分からないけど、昨日よりも、ちょっとでも良い方向に進んでいたらいいなと思っています。
――人との繋がりを意識的に増やしたのでしょうか?
Novel Core 一昨年まではそういう動きをしていました。もともと僕はお酒を飲まないのもあって、あまり飲みの場などにも行かないタイプだったんですが、武道館公演(2024年1月17日)の前年に国内の音楽シーンの最前線にいるアーティストの方々が集まる場にお声がけいただいて行く機会があったんです。そもそもそれ自体もそこでナオト・インティライミさんとの出会いがきっかけにあって、そこから派生した繋がりが今も大事な関係になっています。Novelbrightとの対バンもそれがきっかけですし、Mrs. GREEN APPLEの涼架さんとの親交もそこからです。ただ最近は自分から積極的にというよりも、自然と声がかかったり、同じようなことを感じている人との出会いがあったりということが多いですね。
――BMSG所属のアーティストが増えていく中で、どのようなスタンスを意識していますか。
Novel Core BMSGは良くも悪くも個人戦でありつつ、個人戦にはならないという相反する部分があります。気持ちとしては個人戦で、それぞれがそれぞれのやり方でBMSGというものをレペゼンしていくべきだと思っていますし、内側で戦うよりも外に出て色んなものを持って帰ってきたいという気持ちが強い。それと同時にBMSGという帰属する場所がある以上、全員がBMSGという名前を背負って戦っていると思っているので、そこに対する意識はより強まっています。
――BMSG第1弾アーティストとして、仲間が増えていくことをどう感じていますか?
Novel Core 純粋にうれしいですね。世の中にはBMSGの今のインフラでは抱えきれないぐらい、BMSGの理念に共鳴してくれるアーティストやファンの方、企業さんがたくさんいると思っています。その中の数パーセントでも、実際に光が当たって活動できる人たちが増えているのは、同じアーティストとしてうれしいし希望も感じています。