現実世界よりも、きさらぎ駅のほうがマシに感じる

――監督の演出で前作との違いはありましたか。

恒松 前作できさらぎ駅に行ったことがあるメンバーは割と自由にやらせてくれて、新メンバーとは「こういうふうにしてほしい」という話し合いをしながら進めていました。

――恒松さんが異世界で出会う人たちを倒すシーンは前作以上に痛快でした。

恒松 前作は春奈の単独プレイでしたが、今回は明日香と一緒にチームで頑張るので、二人で敵を倒していくみたいな新たなアクションの形が増えたのは面白かったです。2作目ならではのアクションですね。

――同じシーンが何度も続くと、混乱しないものなんですか。

恒松 混乱しますし、たとえば電車の中のシーンは、まとめて撮影しないといけないので、気持ちを保つのも大変でした。今何回目のシーンなのかをメモして、「ここではこういうことを言いたい」みたいなことを細かく書いて、ちゃんと台本を読み込んで理解してから、現場に臨むようにしていました。

――山奥での撮影も多くて過酷だったかと思います。

恒松 線路のシーンは一日で撮影しているのですが、今は使われていない線路なので石も整備されていなくて、油断すると足を挫いてしまうんです。一日中走っていたので、あの日は本当に大変でした。あと前作の撮影は秋だったんですが、今回は真夏に撮影していて、すごく暑かったですし、線路のシーンではヒルがいたんですよ。ヒルを避けるために、ずっと足を動かしていたんですが、それでも中に入ってきたときは手ではたいて。スタッフさんは咬まれて足が血まみれになっていたので、衣装に血がつかないようにと必死にヒルを振り払いました。

――完成した作品をご覧になったときの感想はいかがでしたか?

恒松 笑いました(笑)。あと冒頭のパートで、明日香が世間からバッシングを受けて大変な目に遭いますが、そのシーンがあまりにもつらいので、むしろ現実世界よりも、きさらぎ駅にいるときのほうがマシに感じるんですよね。怖い世界だけど、チームワークも生まれるし、何なら優しい世界に見えるところが面白かったです。

――改めて『きさらぎ駅 Re:』の見どころをお聞かせください。

恒松 相変わらず春菜は強いんですけど、今回は春奈だけじゃなくて明日香もめちゃくちゃ強くなっています。二人は敵を倒していくシーンはバディもののようでもあり、今作ならではの見どころです。初めて観る方はもちろん、前作を気に入ってくださった方は、より楽しんでもらえるはずです。

Information

『きさらぎ駅 Re:』
ヒューマントラストシネマ渋谷、イオンシネマほか全国ロードショー中

本田望結
芹澤興人 瀧七海 寺坂頼我 大川泰雅 柴田明良 中島淳子
奥菜恵 / 佐藤江梨子
恒松祐里

監督:永江二朗
脚本:宮本武史
主題歌:弌誠「ガタゴト」(VAP)
企画・制作:キャンター
配給:イオンエンターテイメント
製作:「きさらぎ駅 Re:」製作委員会
©︎2025「きさらぎ駅 Re:」製作委員会

3年前、異世界「きさらぎ駅」から奇跡の生還を果たした宮崎明日香(本田望結)。しかし、彼女の外見は20年前のまま。その異質な存在は、世間の冷たい視線と疑念に晒されることとなった。孤独と絶望に沈む明日香の前に現れたのは、ドキュメンタリーディレクターとして名を馳せる角中瞳(奥菜恵)。この運命的な出会いが、明日香の心に新たな決意を芽生えさせる。かつて命を懸けて救ってくれた堤春奈(恒松祐里)、そして異世界に取り残された者たち。彼らを助けるため、明日香は再び「きさらぎ駅」へと足を踏み入れる。果たして、彼女を待ち受けるのは救済か、それともさらなる絶望か。

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恒松祐里

1998年生まれ。東京都出身。2005年ドラマ「瑠璃の島」で子役デビュー。その後、2009年『キラー・ヴァージンロード』で映画デビュー。映画『凪待ち』(19)でおおさかシネマフェスティバル2020新人女優賞を受賞。前作の映画『きさらぎ駅』(22)にて映画初主演を果たす。近年の出演作は映画『アイネクライネナハトムジーク』(19)、『スパイの妻』(20)、『タイトル拒絶』(20)、『Gメン』(23)、『裏社員。-スパイやらせてもろてます-』(25)、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」(21)、Netflixオリジナルドラマ「全裸監督 シーズン2」(21)、「私の死体を探してください。」(テレビ東京/24)、「わたしの宝物」(フジテレビ/24)などがある。

PHOTOGRAPHER:YASUKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:MARIE TAKHISA,STYLIST:RAISHIROU YOKOYAMA(Yolken)