幻士郎と十蘭それぞれが成長した部分が表現されている
――今回の『死神遣いの事件帖 終(ファイナル)』はシリーズ第三弾にして、ファイナルと銘打っていますが、最初に脚本を読んだときの印象はいかがでしたか?
安井 パート2の『死神遣いの事件帖 -月花奇譚-』(22)はお藤というキャラクターに重点を置いて、コロナ禍だった当時の空気感なども出ていましたが、パート3で改めて幻士郎と十蘭の関係性をメインに据えて、二人の別れを丁寧に描いているなという印象でした。まあ二人は何回別れるんだという話もありますが(笑)。今回は相手を思った上での別れということがあって、それぞれ成長した部分が表現されているなと感じました。
――どんな意気込みで撮影に臨みましたか。
安井 僕は映画の出演が、『死神遣いの事件帖 -月花奇譚-』以来でしたし、台本を見てセリフを覚えるということ自体が数年ぶりでした。そこは皆さんにご迷惑をかけないようにという気持ちでやっていました。
――今回、初めて十蘭のアクションシーンがあります。
安井 前作までアクションをやってこなかったので、台本を見たときに「これは戦うな」とびっくりしました。パート1の舞台版で少しだけ殺陣をやらせていただいたのですが、映像では初めてでしたし、殺陣自体も4年ぶりでしたので緊張しました。
――幻士郎と一緒に戦うシーンはシンメトリーな動きが美しかったです。
安井 コンビネーション技というか、刀と刀を合わせて、それが攻撃になる。普通の一対一の殺陣とは違ったので、間合いやタイミングを合わせるのに苦労しました。
――ダンスに近いのかなと感じました。
安井 柴﨑貴行監督にも「ダンスと一緒でしょ」と言われたんですが、全然違うんですよ(笑)。そこは幻士郎役の(鈴木)拡樹くんに引っ張っていただいて、いろいろなアドバイスをいただきながらやれたので助かりました。
――現場の雰囲気はどのようなものでしたか。
安井 平和でした。いい意味で淡々と進んでいく現場なので、変に盛り上がり過ぎることもないし、誰かと誰かが衝突することもない。特に今回は順調に進んでいるなと感じることが多かったですね。パート3なので、俳優部もそうですけど、照明部や撮影部をはじめとしたスタッフさんのコンビネーションが素晴らしくて、俳優が見えない部分でも連携が上手くいっているんだろうなと感じました。
――改めて柴﨑監督の演出はいいかがでしたか。
安井 余計な言葉は一切なくて、僕らに任せてくださるんですよね。もちろん大事な部分やあ、伝えなくてはならないことがある場合は指示してくださるので、すごく信頼できました。