出会いの奇跡を歌った人気曲を結婚に寄り添う形にリアレンジ
――路上ライブは、いつ頃から始めたのですか?
かわにし 大学1年生の頃からライブハウスで活動していたんですけど、当時バイトしていたコンビニの店長やバイト仲間が活動を応援してくれていて、「SNSもっとやらへんの?」と言ってくれたんです。それで、大学2年生になった頃に、弾き語りの動画や関西弁で少し喋ってキャラを見せてから歌うという動画をアップし始めたら、見てくれる方が増えていって…。それで、その方達に私自身に会ってもらって歌を聴いてもらいたいと思うようになったので、路上ライブを始めました。そして、さらに路上ライブの動画をアップするようにしたら、今度は路上ライブを観に行きたいと思ってくれる方が増えていったので、毎週日曜日に路上ライブを行うようになったんです。
――状況がどんどん好転していく感じをご自身ではどう受け止めていましたか?
かわにし 本当に信じられないという感覚でした。自分自身は何も変わっていないのに、こんなにも再生されるものなんだ!?とびっくりしましたね。それで、曲や歌声だけじゃなく、かわにしなつきというキャラクターももっと知ってもらいたいなと思って、コンテンツをどんどん増やしていきました。そうしたら、今の事務所(アソビシステム)の中川(悠介)社長のSNSにたまたま私の動画が流れたみたいで、「最近この子よく見かけるよね」という話になり…。私が短大に通っていたので、卒業のタイミングで東京に呼ぼうと言ってくださって、アソビシステムに所属することになりました。改めて、本当にタイミングが良かったなと思いますし、SNSの力は凄いなとも感じています。
――素敵なストーリーを聞かせていただき、ありがとうございます。では、ここからは、新曲「0.0004%のキセキ~Wedding Ver~」について聞いていきます。もともと2022年11月にリリースされた楽曲のリアレンジということなんですが、まずは原曲について教えてください。
かわにし 人と人がこの世の中で出会う確率は0.0004%だと知った時に、大切な人がそばにいることは当たり前じゃないんだということを伝えたくて作った曲です。3年前にリリースした曲にも関わらず、好きだと言ってくださるファンの方が多かったり、ライブではアンコールの前に歌ってくれる子もいたりして、私の思いがちゃんと伝わったことがとても嬉しかったですね。結婚する知り合いに向けて作った曲ではあったんですけど、その後もっと結婚に寄り添ったような、結婚式で流したくなるようなハッピーな曲調で作り直したいなと考えるようになりました。リアレンジという形をとったんですけど、アップデートというよりも、違う曲なんだけど、どこか繋がっていて、過去の曲も今の曲も両方好きだと言ってもらえるような曲にしたいなと思って、曲調をガラッと変えて作っていきました。
――リアレンジするにあたり、拘った部分はどこでしょうか?
かわにし 最も拘ったのは歌詞の描き方です。前の曲では1人をイメージしていたのに対して、今回は2人ということをもっとイメージしてもらえるような歌詞にしました。一番気に入っているのは「追いかけた恋が肩を並べ 愛になってく」という歌詞です。恋と愛の違いって何だろう?と改めて考えたんですけど、ある時、街で見かけるご夫婦の歩幅って一緒だなと気付いたんです。付き合いたてのカップルの場合、どちらかの歩く速度が早くて、ちょっと待って…みたいな感じだったり、どちらかが相手に合わせるような感じだったりすると思うんですけど、長年ずっと一緒にいると当たり前のように歩幅が揃ってくるんだなと、それってすごく素敵なことだなと感じました。そんな情景を上手く歌詞に落とし込めたんじゃないかなと思っています。
――リリース後の反応はいかがでしたか?
かわにし 歌詞をガラッと変えたことに対しては不安もあったんですけど、ファンのみんなも大切な曲として聴いてくれていると感じることができました。どっちも好きだと言ってくれたり、結婚は本当に奇跡なんだと思えたと言ってくれたりする人も多くて、とても嬉しかったです。
――実は、かわにしさんは結婚式にはまだ参加したことがないとのことですが、どのようにイメージして作り上げていったのですか?
かわにし 披露宴の新郎新婦の登場シーンをSNSなどでたくさん見て、こういうシーンで流してもらえるような曲にしたいと思って作りました。あとは、結婚している方にインタビューさせていただいたり、これから結婚する友達にどんな思いなのかを聞いたりもしました。
――今後、披露宴でこの曲を使いましたという報告がたくさん届くといいですよね?
かわにし そういうお話が届いたら本当に嬉しいです。もちろん、いつかは誰かの結婚式で歌ってみたいなとも思っています。でも、その時には私自身が大号泣といった感じかもしれません(笑)。アーティストとしては、人生の節目に曲を使ってもらえるということが本当に奇跡だなと思いますし、音楽を続けてきて良かったと感じられると思います。