最新シングルは八木栞のラストシングルに“河西と秋山”がそれぞれ感じていた卒業の予感
――最新シングル『My Days for You/悲しみがとまらない』は、河西さんと同じくリトルキャメリアン(2021年7月に加入した河西・福田真琳・八木栞・豫風瑠乃の愛称)の1人で、2025年4月の日本武道館公演でミュージカル女優の夢に向かい卒業した、八木さんのラストシングルとなりました。
河西結心(以下、河西) しおり(八木)とはグループ内で唯一の同級生でもあったので、将来をよく話し合っていたんです。最初、メンバーみんなで卒業を聞いたときは寂しくなったし、大号泣しました。でも、同い年で一緒に活動してきたメンバーがちゃんと将来を考えているのがすごいなと、時間が経つにつれて受け入れられるようになっていったんです。一緒にオーディションを受けていたときから「ミュージカルが大好き」だと聞いていて、加入後もミュージカルのよさを私たちに伝えてくれたり、声楽教室で習った歌を披露してくれたりしていたので、応援したい気持ちになりました。
――秋山さんは初めて、後輩の卒業を経験しましたね。
秋山眞緒(以下、秋山) そうですね。私は、卒業に早いも遅いもないと思うんです。しおりから卒業を聞いた3、4ヶ月ほど前から予感はあって、みんなを見る表情とか楽屋での笑顔が、なんとなく違うと思っていたんです。だから、本人から聞いたときは驚きつつも納得できました。加入後も「このオーディションを受けたい」とハッキリ口に出してくれる子だったんです。グループの枠にとらわれていたら「しおりが本当にやりたいことはできないのかもしれない」と感じていたし、初めて後輩の卒業を見送って色んな感情も込み上げましたけど、みんなと一緒にしおりの夢を応援し続けたいです。
――秋山さんのように、河西さんも八木さんの卒業を「予感」していましたか?
河西 本人から聞く2ヶ月ほど前に、しおりから「卒業します」と言われる夢を見たんです。しおりにも「卒業する夢を見たんだけど、正夢にならないように伝えておくね」と報告したんですけど、実際に卒業を聞いたあとで「あのときはヒヤヒヤしたよ」と言われました(笑)。
――鳥肌が立ちました(笑)。八木さんの卒業セレモニーもあった日本武道館公演は結成10周年を祝う大舞台で、インディーズ時代から続くグループのシングル作品全曲を含む“全44曲”を披露するチャレンジングなステージでした。
河西 10周年の節目であり、しおりの卒業公演でもあったのでどんなコンサートになるのか想像できなかったです。でも、公演当時の11人で“全44曲”を披露できたのはうれしくて、グループの集大成として「今のつばきファクトリーを見てください!」と胸を張ってステージに挑めました。卒業の寂しさはあっても、しおりがニコニコしながら楽しそうにステージに立っていたし、笑顔で送り出したい気持ちも強かったです。
秋山 歴史を感じられるライブでした。私はメジャーデビュー(2017年2月リリースの「初恋サンライズ/Just Try!/うるわしのカメリア」)の前からグループにいるので、このシングルでは「メンバーの雰囲気はこうだったな」とか、レッスンでは「怒られたな」とか、リハーサル段階から思っていたんです。メジャーデビューからを振り返ってもメンバーの顔ぶれが変わって、歌の雰囲気もガラッと変わっていますけど、それもまたよさなんですよね。メンバーやファンのみなさんから色んなパワーをもらって、昔よりも強くなりました。加入当時、レッスンで先生に「パフォーマンスが0点以下」と言われて悔しがっていた私はもういなくて、堂々とした姿を見せられるほど、強くなったと日本武道館のステージで噛み締めていました。
――日本武道館公演を経て、5~6月には新たな10人体制でのツアー「つばきファクトリー 10th Anniversary Live Tour 2025 Spring ~OUR DAYS GO ON~」も行脚しました。
河西 卒業したしおりの存在が大きかったからこそ、カバーしようとするメンバーの結束感も強くなったと思います。リハーサルではしおりのいない寂しさもあったんですけど、ステージではファンのみなさんとの一体感に救われたんです。しおりの歌割りを継ぐパートもあったひなーず(2024年2月に加入した石井泉羽・村田結生・土居楓奏の愛称)の3人も成長して、メンバーみんなで「乗り越えていけたら」と思えるツアーになりました。
秋山 公演中に、しおりを応援してくださるファンの方々を見かけたんです。しおりのメンバーカラーだったオレンジ色のペンライトを振る人もいて、自分の推しがいない寂しさは分かりますし、つばきファクトリーとしてのしおりを応援してくださった方々にも楽しんでいただけるように、これまで以上にファンのみなさんと視線を合わせて“目で会話しよう”と意識していました。グループが続いていく中では、メンバーの卒業のように乗り越えなければいけない試練もたくさんありますけど、自分が卒業を選択したときに「秋山さんの穴を埋めるのは大変」と思ってもらえるぐらい、大きな存在にならなければとも感じるツアーでした。