自分一人だと負けそうになってしまうことも周りに支えていただいた

――『138億年未満』で倉沢さんが演じた野沢真子はどんな役柄だったのでしょうか。

倉沢 大阪の芸大に通う大学生で、桜井日奈子さん演じるヒロイン・韮澤の友人であり、ダンス仲間。踊りが上手くて、学内で一目置かれているスター的な存在です。韮沢はその才能を羨ましく思っているのですが、野沢としても才能があるがゆえの悩みを抱えていて。自分にとって踊りとはどういうものなのかという葛藤もありつつ、ダンスに打ち込んでいます。

――「ビリオン×スクール」でもカースト上位の一軍生徒を演じていましたが、ちょっと近いところがありますね。

倉沢 「VRおじさんの初恋」(NHK)のときは人の目も見られないような役だったんですけどね(笑)。『138億年未満』では1990年代後半の大学生を演じさせていただいたのですが、いろいろなキャラクターを演じられるのはうれしいことです。

――過去に倉沢さんもバレエに打ち込んでいたということで、野沢に共感する部分はありましたか。

倉沢 バレエに打ち込んでいたのは小学生のときなので、大学生でダンスに打ち込む野沢とは考え方も違うかなとは思うのですが、自分が頑張っていることに対しての熱意、それが上手くいかないときの情けなさなど、いろんな複雑な感情を持つところは、自分自身が野沢と同世代の大学生だからこそ共感しました。

――『138億年未満』はキャストもバラエティ豊かでした。

倉沢 皆さんのお芝居を見るのが本当に楽しかったです。(演出の)福原さんはよく笑う方なので、お芝居をつけているときの演出も面白いですし、みんなで笑いながらお稽古をやっているかと思いきや、思わず泣いちゃうようなシーンもあって。一つひとつのシーンの展開が早くて、スパッと切り替わっていくのが魅力の一つなのですが、どのシーンにも見応えがありました。もちろん張り詰めた空気のときもありましたが、皆さん穏やかでしたね。

――舞台は役者さん同士のコミュニケーションが濃密という印象があります。

倉沢 そこまで映像との差は感じなかったです。ただ、確かにドラマだと大勢のスタッフさんがいらっしゃって大きいグループで動いている感覚がありますが、舞台の稽古期間中などは人数がコンパクトだったりもするので、よりチーム感が強いかもしれません。出演者同士の距離感も近くて、それぞれのお稽古している瞬間を見ていられるのは勉強になりましたし、同時に自分の実力不足を感じたりもして。一緒に作っているという意識が、より明確かもしれません。実力のある先輩方に囲まれてやらせていただいたので、相談にも乗っていただきましたし、自分一人だと負けそうになってしまうことも支えていただいたり、助けていただいたり、楽しめるようにしてくださったり。本当に助けていただきました。