雨宮慶太監督がビジュアル面を大事にされているのが伝わってきた
――蛇道の衣裳とメイクもオリジナリティにあふれていました。
瀬戸 蛇道の衣裳は本革を使っているので重いんですよ。肩こりもすごいし、刀を振るたびに裁断した部分が巻き付いたり、マントさばきも難しかったり。それに簡単には脱げないので、トイレを我慢するのも大変でした。しかもトイレのある場所が遠かったんです。12月の撮影で、ロケ地も寒くて、尿意との戦いでもありました(笑)。
――蛇道を演じる上で、立ち振る舞いやしゃべり方などで工夫したことはありますか?
瀬戸 主人公の大河は余裕があって、熱血漢というタイプではないんです。それは蛇道も同じで、淡々としたところがあるので、同じように余裕がある雰囲気にして、白と黒みたいに、二人の対比を出したら面白いんじゃないかと思いました。役者さんによっては、もっと蛇っぽく、キモく演じる方もいると思うんですが、あえて僕はやり過ぎないようにしたんです。
――雨宮監督から、演技についての指示はありましたか?
瀬戸 特になかったですね。あったとしても、「顎をもうちょっと上げてほしい」とか、角度や表情に関することぐらいでしたが、それだけでも「常に蛇道は美しくいてほしい」というのが伝わってきました。それに雨宮監督は映画初主演の北田くんに時間をかけて演出をされていました。だから僕はできる限り自分自身で蛇道を咀嚼して、その分、北田くんに時間を使ってもらえたらいいなと思っていました。
――蛇道のようなキャラクターは、普段の表情の作り方とも違いますよね。
瀬戸 僕は視力が低いので、普段から抜けたような目になりがちなのですが、北田君がしっかりした目をしているので、そこで違いが出るかなと思って、その表情を大事にしました。
――雨宮監督のビジュアル面へのこだわりはいかがでしたか?
瀬戸 衣裳合わせだけでも4回くらい工房に行ったのですが、最初に採寸して、仮の皮で衣裳を作って、そこから本物の皮の衣裳にして、さらに修正して。なかなかここまで衣裳にこだわる現場はないと思います。メイク、髪の色も含めて、雨宮監督がビジュアル面を大事にされているのが伝わってきました。大人の特撮だなと衣裳を着て改めて思いましたね。
――北田さんの印象はいかがでしたか?
瀬戸 映画初主演ということもあるでしょうがフレッシュで、ずっと敬語で、普段からハキハキした口調で話しかけてくるので後輩感があるんですよ。だから上に見積もっても24歳くらいかなと思っていたら、僕の2コ下だったんです。撮影終盤に、たまたま宿泊先の大浴場で一緒になって、実年齢を知ったんですが、そのときに「ご飯連れて行ってください!」と言われて。そういうのって同世代に言わないじゃないですか。そこも後輩感があるなと(笑)。