森崎ウィンさんと向井康⼆さんは本番以外でも素敵な方々でした

――映画『(LOVE SONG)』は、世界的な⼈気を誇る⼤ヒットBLドラマ「2gether」を⼿掛けたタイのチャンプ・ウィーラチット・トンジラー監督がメガホンを取った⽇タイ共同制作作品です。BLを題材にした映画やドラマを観たことはありましたか。

⿑藤京⼦(以下、齊藤) 今回出演させていただいて、初めて観ました。ピュアで真っすぐな恋愛にときめきました。

――チャンプ監督とは、クランクイン前にお話しする機会はありましたか。

齊藤 顔合わせで、「よろしくお願いします」とご挨拶をした程度です。通訳の方を介していたので、深く会話を交わすことはなかったのですが、私のビジュアルが「ヒカリのイメージにぴったり」と言ってくださって。ヘアメイクも普段の雰囲気に近いまま撮影に臨みました。

――齊藤さんが演じるヒカリは、ソウタ(森崎ウィン)とカイ(向井康⼆)の⼤学時代の同期で、現在はソウタと同じ会社で働いており、ソウタにとって姉のような存在です。 どういうキャラクターだと感じましたか。

齊藤 ヒカリがいなかったら、ソウタはカイと再会できなかったかもしれないというキーパーソン的な存在です。とにかく気が利いて頼もしく、台本を読んだ時に「かっこいい!」と思いました。サバサバしているけれど、友達思いで、二人のことを心から応援する優しさも持っています。仕事もできる女性でファッションもきちっとしているので、髪の毛を後ろで一つに括るなど、外見からも気持ちを作っていきました。

――脚本を読んだ時の印象を教えてください。

齊藤 まず面白かったのが台本の作りで、片面に日本語、もう片面にタイ語の対訳という初めて見る形式で、ページをめくるたびにタイ語があるので新鮮でした。ストーリーとしては、ソウタとカイのピュアな関係性も素敵でしたが、及川光博さん演じる先輩のジンさんのテンポ感が独特で読みながら笑ってしまいました。及川さん自身も面白い方で、撮影でも随所にアドリブを入れてらっしゃるんです。ジンさんがタイに行くソウタを「頑張って」と励ます、私が一番お気に入りのシーンがあるんですが、それも台本にはないやり取りで、笑いをこらえながら演技するのが大変でした。

――ソウタの母親役を演じた筒井真理子さんとは過去にも共演経験があります。

齊藤 2023年に「泥濘の食卓」というドラマでご一緒させていただいたんですが、その時は親子役で、筒井さんは毒親という設定でした。今回の『(LOVE SONG)』では、また違った形で、息子であるソウタへの愛を表現する役柄だったので、印象が違って新鮮でした。「泥濘の食卓」は私にとって初の主演ドラマで思い入れもありますし、筒井さんが「久しぶり」と声をかけてくださって、とても心強かったです。

――共演シーンの多い森崎さんの印象はいかがでしたか。

齊藤 常に優しくて、誰に対しても気配りができて。主演で撮影時間が長いにもかかわらず、いろんな方々に話しかけていましたし、エキストラの方にも真っ先に「今日はありがとうございました」と声をかけていて、まさに「ザ・座長」という頼もしい存在でした。

――向井さんとは初共演ですか。

齊藤 音楽番組でご一緒したことはありましたが、お芝居で共演したのは初めてでした。最初の会話で、「タイの撮影方法は日本と違っていて、いきなり本番が始まるからびっくりするかもしれないです」と教えてくださって、そのおかげで心構えができました。お二人ともお優しくて、本番以外でも素敵な方々でした。

――先にタイでの撮影だったんですね。

齊藤 そうなんです。だから私のクランクアップはお二人と一緒でした。

――向井さんの仰っていたタイ流の撮影方法はどのようなものだったのでしょうか。

齊藤 私にとって最初のシーンで、「ここに立ってください」と言われて、そこに立ったら準備する間もなく、「じゃあ行きます」と本番が始まるスタイルなので、急いでヒカリとしての気持ちをつくる必要があったんです。この演技が大きなスクリーンに映る可能性もあると戸惑っていたところ、森崎さんが「一回リハをやりませんか」とチャンプ監督に言ってくださって。そのおかげでリハをできたので、森崎さんには感謝しかないですね。ただ、こういう一発集中みたいな撮影は、瞬時に全てを注ぎ込めるので個人的には楽しくもありました