BMSG設立当初から明確なビジョンは固まっていた

――BMSG設立から5周年を迎えましたが、このスピード感で、ここまで大きくなることを想定されていましたか。

Novel Core 正直、全く想定していませんでした。ただ、日髙(光啓)さんは最初から明確なビジョンを持っていたんです。2020年3月、緊急事態宣言が出る直前に、日髙さんから「第一弾アーティストとしてBMSGに入ってくれるだろうか」と焼肉屋で相談を受けた時、この5年間の構想を全て話してくれました。その時点でまだオーディションの名前も決まっていない状態だったんですが、すでに富士急ハイランドコニファーフォレスト(2022年9月17・18日に開催した「BMSG FES’22」の会場)を押さえていて。後にBE:FIRSTとなるボーイズグループのデビュー、そのファーストグループが2024-2025年のタイミングでドームツアー・ワールドツアーを走ること。後にMAZZELとなるセカンドグループのオーディション。そしてSTARGLOWの構想まで、全て固まっていたんです。

――それはすごい!

Novel Core 唯一の想定外は「No No Girls」で、ちゃんみなとのやり取りの中で生まれたイレギュラーなものでした。HANA以外は日髙さんの中で決まっていて、それが描いた通りに現実になっていて。その構想を最初に聞いたアーティストとして、毎年それが一つずつ実現していくのを見るたびに、すごいなと思っていました。BMSGが走り出して2、3年経ったタイミングで、2025年は日髙さんの話していたところに着地する5年目になるなと感じて、今の自分ができることを考え始めました。

――関わる人が増えていく中で、プレッシャーはありませんでしたか。

Novel Core 最初はプレッシャーもあったし、周りの人を信頼するのに時間がかかりました。インディーでやっていた頃(GRAND MASTER)は、ジブさん(Zeebra)が代表としているとはいえ、自分自身でクリエイティブをコントロールして決定権も持って、1000万円の自己資金で自主制作した1stアルバム『WCMTW』をリリースするという結果も出していました。そこからのメジャーデビューで急に関わる人が増えて、景色の変わり方についていけず、結構しんどかった覚えがあります。

――前回の連載で、「BMSG FES’22」の直前に日髙さんとの話し合いがあって、自分のあり方を見直せたというお話がありました。それ以降、どのような意識の変化があったのでしょうか。

Novel Core みんなと一緒にやっていく以上、ちゃんと相手を信じて、自分の思いも伝えていこうと意識するようになりました。アーティストとスタッフさん、もちろんファンも含めて100%分かり合うことは不可能だけど、お互いに寄り添い合うことが大切だと気づいて。それぞれの役割があって、それぞれの視点があるからこそ、チームで作る意味がある。そこから任せるところは任せられるようになって、クリエイティブの視野が広くなりました。

――BMSGはグループとソロアーティストが上手く共存していますが、なぜ成立していると思いますか。

Novel Core 代表がSKY-HIというのが一番大きいと思います。現役で最前線を走るアーティストがCEOで、日髙さん自身がグループでもソロでも結果を残してきた。両者の目線をちゃんと理解している人がトップにいるからこそ、成立しているんだと思います。

――グループアーティストが同じレーベルにいることで、刺激を受けることはありますか。

Novel Core めちゃくちゃあります。特に歌って踊るという部分は、僕も直近までダンスカルチャーとの融合を試してきましたが、そもそも自分のルーツにはなかったカルチャーで、BMSG発足以降に触れるようになったものです。自分のライブにないものを彼ら彼女らは持っているし、自分が考えないことを普段のクリエイティブの中で意識している。歌って踊ることを生業にしている、自分と形態の違うグループアーティストたちが横にいることで、自分が正解だと信じていたものを良い意味で壊していく作業がしやすくなっています。

――音楽面でグループとの交流から影響を受けることはありますか。

Novel Core グループからのインスピレーションというよりは、自分自身の立ち位置が明確になるところがあります。グループアーティストがやっていることに対して、自分はそこにはない何かをプレゼンスとして示していく。ラップのスタイル、歌唱の仕方、ライブの作り方、全てにおいてグループとは違う角度のパフォーマンスや音楽性を練っていく必要があると思っています。

――核になるものは変わらないとはいえ、活動初期からめまぐるしく音楽性が変化していますが、ご自身でここまで変わると想定していましたか。

Novel Core 正直、自分がどう進化していくかは想像できていませんでした。もともとルーツがぐちゃぐちゃで、毎年作るものの色が全然違うし、振り幅も人一倍大きい。どれかに絞って制作することもできるし、全部を混ぜることもできる。タームごとに分けて、連発していくこともできる。だからこそ「Novel Coreがどういう音楽を作る人なのか」というアーティスト像が、ちゃんと固まるのかというモヤモヤがずっとあったのですが、ここ最近は晴れてきたという感じです。