超特急が続いているのは自分たちを信じていることが大きい
――海さんの俳優としてのキャリアについてお聞きします。この世界に入ったきっかけから教えてください。
小笠原 テレビ番組の公開オーディションに応募して、オーディション自体はダメだったんですが、それがきっかけで芸能界に興味を持って、今の事務所に声をかけていただいて所属することになりました。もともとダンスを習っていたのもあって、活動を始めた時はダンスを生かせたらいいなと思っていたんですが、演技レッスンも受けていく中で、お芝居も楽しいなと。自分にできることがあるなら何でもチャレンジしたいなと思っていました。

――演技レッスンが楽しかったんですか。
小笠原 今週は美容師やって、来週はサラリーマンやってと、演技レッスンとはいえ転職できるじゃないですか。当時は中学・高校の時期だったんですが、自分じゃない人生を生きられる感覚が楽しかったのを覚えています。
――ダンスの経験がお芝居に活きていると感じることはありますか。
小笠原 体の使い方で言うと、自分が思ったように体が動くところは、ダンスの経験があるからだと思います。アクションや殺陣も、振り付けみたいな感覚でテンポ感や自分の体の動きで覚えられるので、そこにはかなり活きていると思います。
――超特急のパフォーマンスもシアトリカルな要素がありますよね。
小笠原 そうですね。あと変なことをすることに抵抗感がなくなったというのは大きいですね。超特急はかっこいい曲もありますけど、いわゆるトンチキソングというか、楽曲中に変顔をしたり白目を剥いたりすることが多いですから。
――最初は変顔にも抵抗があったんですか。
小笠原 もちろん(笑)。結成当時は20歳そこそこで、世の中ではかっこいいK-POPが浸透し始めていた時期。僕に限らず、メンバー全員がかっこいいパフォーマンスに憧れていました。でも活動していく中で、僕らのパフォーマンスを観た8号車(※ファンの呼称)の方が喜んでくれるのがうれしくて。成功体験を重ねていくにつれて、何事も全力でやること自体がかっこいいんだと分かってきました。中途半端に変顔するのではなくて、恥を捨てて、やり切っちゃったほうがかっこいい。やっぱりお芝居も、振り切れたほうがいいんです。躊躇があると、人に伝わってしまうものだし、お客さんの前で堂々とやりきるということに関しては、超特急の経験が役立っています。
――お芝居でターニングポイントになった作品は何でしょうか。
小笠原 映画『ハローグッバイ』(17)です。学生の役だったんですが、撮影に入る前に学生役のキャスト全員が参加するワークショップを菊地健雄監督が何度か開いてくれました。それまでは、いただいた脚本に沿って演じることに必死だったんですが、ワークショップを通して、それぞれの関係性がリアルになるまで演じたことで、お芝居に奥行きが出て、各キャラクターのバックボーンまで、しっかりと感じられたんですよね。
――グループについてもお聞きしたいのですが、次々と新しい男性グループが出てくる中で、超特急が第一線で活躍し続けられる理由は何だと思いますか。
小笠原 自分たちを信じていることが大きいのかなと思います。世の中から「ダサいね」と思われても、自分たちはかっこいいと信じてやり遂げることが正解と思ってやってきた結果、ファンの方がついてきてくれて、いろんなステージに立つことができました。自分たちの中で「これって大丈夫なのかな」と不安に思った瞬間、伝わっちゃうものですからね。それは僕たちのようなダンスボーカルグループに限らず、仕事をする人たちに共通する部分なのかなと思います。たとえ妄信だとしても、自分たち、自分自身を信じ続けることが重要です。

――これだけ数多くのダンスボーカルグループがいる中で、超特急は唯一無二のグループですよね。
小笠原 もしかしたら反面教師になっているかもしれませんけど(笑)。僕たちの今後の目標として、「このグループは超特急っぽいよね」とか、「このアーティストの新曲は超特急味あるよね」と言われるような人たちが出てきたらうれしいですね。そうすると、この道のパイオニアであり、道なき道を先陣切って進んできたという自信にもつながります。
――個人での活動とは、どういう意識で臨んでいますか。
小笠原 今回の『じっちゃ!』もそうですけど、やっぱり超特急に還元できたらいいなと思っています。その中で、小笠原海にもしっかり水を与えてあげたいなと。そうすることで自分自身もそうですし、グループの知名度も上げて、どちらにも良い影響を与えることが僕としての理想です。
――他のメンバーが出演したドラマや映画は観ますか?
小笠原 お芝居をしているメンバーもそうですし、バラエティに出ているメンバーもタイミングが合えば、チェックするようにしています。感想も言い合いますし、時にはメンバーのセリフなどをいじり合うこともあります(笑)。
