置かれている環境はシビアでも悲観的ではない主人公たち

――映画『万事快調〈オール・グリーンズ〉』は、第28回松本清張賞を満場一致で受賞した波木銅さんによるユーモラスでオフ・ビートな青春小説が原作ですが、オファーがあった時のお気持ちからお聞かせください。

南沙良(以下、南) 原作と脚本を読ませていただいて、純粋に面白かったですし、これまで挑戦したことのないジャンルと役柄で、ぜひ参加させていただきたいと思いました。

出口夏希(以下、出口) 私も台本を読ませていただいた時に、今まで演じたことのない明るさを持つキャラクターでしたし、痛快な内容だったので、皆さんもびっくりするんじゃないかと思いました。早く演じたくて、クランクインが楽しみで仕方がなかったです。

吉田美月喜(以下、吉田) 私は原作と脚本をいただいてから、児山隆監督とお会いして、作品についてや、私の演じた岩隈真子の立ち位置などを話し合わせていただいて出演を決めました。私もですが、沙良ちゃんと夏希ちゃんも今までとは違うイメージの役柄なので、どういうふうに演じるんだろうとワクワクしました。

――それぞれの役柄の印象について教えてください。吉田さんが演じた岩隈は、かつて自身も漫画を描いていた、漫画に詳しい毒舌キャラです。

吉田 岩隈は漫画好きというのもあって、キャラクターチックという印象を持ちました。動きやビジュアル的な特徴もパッとイメージが浮かんだので、それに合わせて話し方を早口気味にしたり、ビジュアル的に髪をボサボサにしたくて、あえてトリートメントをしなかったり。そうやってキャラクターっぽい感じとリアルな部分との境目を考えて役作りをしていきました。

――南さんの演じる朴秀美は、学校にも家にも居場所を見いだせず鬱屈とした日々を送りつつも、ラッパーを夢見て仲間たちとサイファーに興じる一面も持っています。

南 朴の置かれている環境はそんなに明るいものではないけど、悲観的ではないんですよね。そんな状況を鼻で笑っているようなところがあるんですが、それでいてどこか卑屈で、行き場のない怒りを自分の中に抱えている子だなという印象がありました。

――出口さんの演じる矢口美流紅は、陸上部のエースで社交的かつ、スクールカースト上位に属していましたが、ある事故に遭ったのをきっかけに校内でのポジションが激変します。その一方で家庭では問題を抱えています。

出口 朴、岩隈といる時と、お母さんといる時の美流紅は別人なんですよね。ただつらいことがあっても、すごく落ち込んでいるわけじゃなくて、どうにか抜け出してやろうという前向きな子。事故に遭った時もくよくよしないところが魅力的でした。共感とは違うんですが、美流紅を演じること自体が爽快でした。