ドイルの思いは僕自身が耀士郎さんに対して抱く感情と重なる

——ミュージカル『最後の事件』はアーサー・コナン・ドイルの原作を元に創作された韓国発の作品ですが、まずはオファーがあった時のお気持ちについて聞かせください。

糸川耀士郎(以下、糸川) もともと韓国のミュージカルやドラマ、音楽が大好きで、自分としても韓国発の作品を何本かやらせていただきました。そういう意味でもすごくワクワクがありましたし、なにより一緒に出演されるキャストの皆様が、楽しみな方ばかりで。一緒に作品を作るキャストさんがどういう人なのかを気にするタイプなので、そういう部分でも自分を高められる方々がいらっしゃるのは、魅力的だと思っています。

髙橋颯(以下、髙橋) 最初に話を聞いたときは、ワクワクが圧倒的に大きかったです。一方で、僕が演じるドイルは作家であり医者でもある役柄なので、きちんと演じなければ作品が成立しない役だということも実感しています。この作品は、トリプルキャストの組み合わせ一つとっても、表面的な面白さだけではなく、奥深い魅力が詰まっていると感じるので、その一つひとつを少しでも理解できるように、謙虚に、前向きに、エネルギッシュに、そして丁寧に向き合っていきたいです。

——脚本を読んで、作品の印象はいかがですか。

糸川 過去にシャーロック・ホームズのオマージュ作品に出演したことがあって、その時はモリアーティ側の役だったんです。その頃から、作品の面白さは強く感じていました。今回、ホームズを演じることになり、原作の魅力はもちろんですが、それに加えて、この作品ならではのオリジナル要素や独自の解釈が印象に残りました。「そういう紐付け方をするんだ」「こうやって繋がっていくのか」と思わされる部分が多かったです。あとは二人芝居という形式と、ミステリー性を掛け合わせた構成が巧みだなと思いました。

髙橋 緻密さと大胆さの両方があり、チャーミングなセリフもいっぱいあるので、全体として可愛らしさも感じる作品だと思います。ドイルとホームズの関係性について歌った楽曲の歌唱パートを例に挙げると、「もしホームズがいなかったら、ドイルは何をしていたのか、何を思っていたのか」という問いを通して、この物語が何を描こうとしているのかが見えてくる気がしていて。ホームズがいることで生まれる安心感があり、支えられている部分も大きい。そうした思いは、自分自身が耀士郎さんに対して抱く感情とも重なります。その絡み合う複雑な関係性の中に、この作品ならではの魅力があるのかなとも思っています。

——お二人は初共演とのことですが、お互いの印象は?

髙橋 初めてお会いした時の雰囲気も良かったですし、先日、歌稽古をしたんですけど、なによりも歌声に惚れました!

糸川 いやいや。そういえば颯は今回のキャストで最年少だよね?

髙橋 そうです。

糸川 そうそうたる方々が揃っている中で、おそらく僕らは”最年少ホームズ”と”最年少ドイル”という立ち位置の面白さを出していきたい、という意図があるのかなと思うんです。僕は颯に対して「最近いろんなところで名前を見るけど、どんな人なんだろう」と純粋に楽しみにしていたんですけど、実際に歌稽古をしてみて、まず思ったのが「歌声がすごい!」ということ。歌声って、その人が生まれ持った根っこの部分が大きいと思うんですよ。そこにレッスンや経験を重ねて洗練されていくものだと考えているんですが、颯は何色でも染まれる、強く輝いている原石みたいな印象があります。

髙橋 うれしいです!

糸川 この作品には、(加藤)和樹さんや、(渡辺)大輔さんのようにタイプも魅力もまったく違う、セクシーで存在感のある方々がいらっしゃる。きっと颯は、そうした環境の中で不安を抱えることもあると思うんです。でも僕からドイル役の3人を見た時に感じる颯の輝きは負けていない。素晴らしい“素材”を持っている役者だなと。

髙橋 僕からも言わせてもらっていいですか?耀士郎さんは作品にも役にもどハマりで、本当に熱量の高い部分と、大人の余裕というか静寂を感じさせる部分、繊細さと大胆さの両方を併せ持っている方だなと思っています。声についても、単に「いい声」というだけじゃなくて、すべてを包み込んで、なんだか平和にしてしまうような力がある。きっと人としても、温かさを根っこに持っている方なんだろうなって。もし僕が音楽監督だったら「耀士郎さんのマイク、常に上げてください」という指示を出していると思います(笑)。