“100%の正解”を一回作ってみて、そこからどう裏切っていくかを考える

——舞台に向けて意識していることをお聞きしたいのですが、本格的な稽古はこれからですか?

糸川 そうですね。そういえば、颯、台本とは別に、ノートにたくさん書き込んでいるよね?

髙橋 いやあ、みっちりというわけでもないですけど。ちょっと持ってきます。

糸川: 稽古のときに台本とは別の分厚いキャンパスノートを用意しているんですよ。

髙橋 (ノートを広げながら)これですね。今まで言われたことなどを書いたり、単純にセリフを覚えるために使ったり。今の僕にとっては紙に書くことでより集中できるんです。

糸川 歌稽古でそのノートを見た瞬間「あ、この子めっちゃ好きだわ」となりました。僕も調べたことや気づきを台本に書き込むから同じタイプなんだなと。

——共通する部分もあったんですね。ノートの他に、お二人が稽古のときに必ず行うことや意識されていることはありますか。

髙橋 挨拶です!

糸川 それは確かに大事(笑)。

髙橋: あと、僕がやっていかなきゃと思っているのは体をほぐすこと。耀士郎さんを見てハッとさせられたのが、耀士郎さんはストレッチマットをリュックに入れて持ち歩いているところで。この方は常に体を動かせる状態をつくっているんだなと感じました。そういう姿勢は真似したいですし、あわよくば自分のものにしたいです(笑)。

糸川 僕はまず、調べ物をするところから入ります。そして、一度オーソドックスな芝居をしっかりイメージする。「100人がこの台本を読んだら、きっと100人が同じようにやるだろうな」という“100%の正解”を一回作ってみて、そこからどう裏切っていくかを考える。そういう作り方をしたいと思っています。

——今作もそのように作っていく予定ですか?

糸川 演出家さんや作家さんの意図が強くある場合もありますし、今回はソン・ジェジュンさんが作られた作品で、すでに韓国でも上演されているという背景があるので、自分のエゴで大きく変えていくことはしないだろうな、とも考えています。そのうえで、まずはしっかり作品に向き合い、ソンさんともディスカッションをして、「ここはこういうことにチャレンジしてみてもいいですか」と相談していけたらいいなと思っています。

——このミュージカルをご覧になる方や興味を持っている方に見どころをお聞かせください。

糸川 一見すると、ドイルとホームズの二人芝居のように見えるんですが、実際にはドイル側の3人も、ホームズ側の3人もそれぞれ全く違っていて、トリプルキャストならではのミックスの面白さが際立っている作品だと思います。3×3で9通りの組み合わせが生まれて、そのどれもがまったく違う色になる。ここまで個性の異なる俳優が揃うのは珍しいですし、やる側にとっても相当勇気のいる挑戦だなと感じています。だからこそ、その9通りそれぞれで起きる化学反応が本当に楽しみで、他のキャスト同士のペアを見るのもワクワクします。

髙橋 今あらためて思うと、6人全員が本当に違うんですよね。正直めちゃくちゃというか(笑)。ある程度の型はありながら、一つとして同じ舞台にはならないんじゃないかと感じています。今、耀士郎さんが話した通り、9通りすべてで違う魅力と化学反応が生まれる作品。だからこそ、どれだけ僕が作品を理解できるか、相手役を理解できるか、相手から逃げずに向き合って、きちんとキャッチボールができるか。そして、どれだけ自分自身を乗り越えられるかが、とても大事だと思っています。