究極の引き算をした時に出せるものが全て

――とてもうねりのあるライブでしたが、ステージから見て、OUTERの反応はいかがでしたか。

Novel Core ホールならではというか、ライブ中にMCでも言わせてもらいましたが、座席があるからこそ来てくれた、来やすかったという人たちも絶対にいたと思うんです。ライブハウスのライブも行ってみたいけど、一旦ワンステップ挟みたいから、ホールに行ってみようという人もいたと思うし、当然、いつも来てくれてる人たちもいたし。いつも以上に混ざっていたと思うので、どんな感じに見えるのかなというのは未知数だったんですけど、いざステージ出て歌い始めたら、1曲目からみんなの反応がデカすぎて。歌声や叫んでいる声のボリュームが想像していたよりも大きかったから、そこに食らっちゃって。「やべえ!ちゃんとやんなきゃ負けちゃう」みたいな気持ちになって。いい意味で肩の力を抜いてやろうと思っていたんですけど、最初の3曲は自分でも想定外に力んでしまって。本当にみんなのパワーがすごかったですし、うれしかったです。

――MCでも自分の声が聴こえなかったと仰っていましたよね。

Novel Core そうなんですよ。いつもと自分の声の出し方も違いましたからね。リハーサルの時に想定していたものとは全く会場内での聴こえ方が違っていて。モニター環境だったりバランスの調整だったり、専門的な話をすると、最近イヤモニの音量を落としめでやっていて。一時期、いろんな楽器の帯域と被って、自分の声がモニタリングしにくかったんです。それがフェスとかで気になって、PAチームに相談したら、「そもそもボーカリストのイヤモニにしては大きめかも」と言われて。なんなら自分ではちっちゃめくらいに思っていたんですが、無意識に上がっていたんですよね。それでトータルの音量を下げたら、純粋に一つひとつの音の解像度が上がって、聴き取りやすくなって。だから最近は落としめでやっていたんです。

――そんな背景があったんですね。

Novel Core それで久々にホールみたいな大きな会場でやると、いつも以上に回り込みがあるので、もう少しイヤモニの音量を上げないと、エアーで帰ってきちゃう。自分の声も二重で帰ってくるように聴こえちゃうんですよね。僕のマイクが拾うステージ上の鳴りとかも、イヤモニにもたくさん入ってきちゃいますしね。だからモニタリングが難しくて、デカい会場なりのモニターの作り方があるなと改めて感じましたし勉強になりました。

――演出面では、あまり派手なことはしていなかったですよね。

Novel Core 今の僕たちのフェーズは、バンドとしてもソロアーティストとしてもそうなんですが、足し算ではない。いろんな音楽が混ざっている分、演出で積んでいくというよりは、演奏力やライブパフォーマンスなどフィジカル面でお客さんを引っ張っていくところに重点を置きたい。だから、あえて特効演出もカットしました。とくにホールなので、特効を積んじゃうと、せっかく見やすい会場なのにCO2で被って見えなかったり、安全面でも最前一列をつぶさなきゃいけなかったり。今回はカメラも入れなかったので、自分たちのチームで僕の持っているカメラと、マネージャーが持っているカメラで、セクションを作って自分たちでリハーサル中にセッティングして、オペレーションまでやりながら映像を撮りました。来てくれた人たちが、どれだけストレスなく楽しめるかに時間を使うことを意識しました。

――ステージ上で撮影した素材をどうするのか気になりました。

Novel Core めちゃめちゃ出していきますよ。SNS周りも含めて、今の時代は、良い曲を作る、良いパフォーマンスをするだけで物事が大きくなっていくことは難しいと思っていて。それ以外の外的要因が圧倒的に大きい。K-POPなんかだとファンが撮ったファンカム映像が広がりの一端を担っていますが、国内でやっているライブは撮影禁止がほとんどだし、みんなに楽しんでもらうことを第一でやるとなると、こっちから出していくコンテンツの濃度を上げないと、よくなっていかないよなということでチームでカメラを買ったり、ショート動画の素材用に撮影をしたり、コンテンツ作りを想定した撮影の体制を整え直しています。

――今回、ホールだからこそ、いろいろ試せたこともありましたか。

Novel Core そうですね。スペースがある分、カメラの置く位置などの相談もしやすかったです。4月からのツアーでも本格的にチームでカメラを回していくと思いますが、まずは撮ってみないと、どういうカメラワーク、レンズ、設定で撮影するのがベストなのか分からなかったので、そこの体験ができたのも収穫でした。

――アコースティックパートはいかがでしたか。

Novel Core 究極の引き算をした時に出せるものが全てだと思っていて、いざマイクをポンと手渡されて、「アカペラで何かやれよ」と言われて、歌を歌ったり、ラップをできることが、僕のアーティストとしての武器だと思うんです。それは楽器隊に関してもそうで、手放しで急に何かやってと言われた時に弾けるものが全てだと思うし。そこの技術力もそうだし、対応力だったり、そういった面が如実に出るのがアコースティックのセクションだったと思うので、改めてバンドとして、楽器隊として、今の自分たちの実力だったり、意識だったりが、本当の意味で、どのレベルなんだろうというのを試す、いい機会だったと思うし、足りなかったところや、もっとこうした方がいいところも、当然ライブやるごとに僕たちも見つかっていくので、それを丁寧に向き合っていく作業をするためにも、ああいうセクションを作れてよかったなと思います。

――2階席に関しては、何か事前準備はしたのでしょうか。

Novel Core 2階席があって、物理的な距離が遠いのも久々だったので、リハーサルの段階から2階に上がって、見え方や音の聴こえ方を確認して、「ここの席の人たちは、こういうふうに感じるから、こういう動き方をしたほうが良さそうだなぁ」とかは何となく事前にシミュレーションした上で、ライブもやっていました。

――2階席に行くのも、リハーサルから決まっていたんですか。

Novel Core リハーサル中に、どうしても2階に行きたいって話をみんなにして。アンコールの「SOBER ROCK」でみんながシンガロングするパートをエクステンドタイムにして、あそこをループにシーケンス上で変えて、そのタイミングで2階に行く形のシミュレーションをしたんです。急遽の相談だったので、バンドメンバーも戸惑っていたのですが、実際に猛ダッシュで上がってみたら、結構なスピードで上がっても1分はかかる。「これは現実的じゃないね」となって、「2階に対しての僕のアプローチは多めにするけど、直接上がるのは難しいからなしにしよう」って話でまとまったんです。でも本番が始まるタイミングぐらいで、やっぱどうにかして行けないかなって、ずっと頭の中でよぎっていて。いざ全部曲が終わって、最後のカーテンコールの時間になった時に、「ワンチャンあるぞ」と思って走り出してしまったっていう感じです。アドレナリンも出ていたので、本番は40秒ぐらいで行けました(笑)。