人を引きつけるためには音楽の強度を上げなきゃいけない
――バースデーライブでは「5年以内に東京ドーム単独公演を目指す」と宣言しました。
Novel Core もともと言うつもりは全くなかったんですが、チームの中ではだいぶ前から、「20代のうちに東京ドーム単独公演」と話していて。それを現実的に考えた時に、2031年の30歳の誕生日を迎えるタイミングで東京ドームというのを目指すのが妥当なんじゃないかというところで、そこに向けてのミーティングも重ねてきていたんです。でも公にそれをプロジェクトとして出すつもりはなくて。あくまで自分たちの中で、そういう目標を作って、そのためのステップを敷いていこうと話していました。

――あくまで内々のものだったんですね。
Novel Core ところがバースデーライブをやっている最中に、いろんなことを考えて。25歳という節目でもあるし、アーティストとしてもメジャーデビュー5周年が終わって、次のフェーズに入るタイミングでもある。バースデーライブという共通点でいくと、最初にやった有観客のCLUB CITTA’でのバースデーライブの時に、武道館単独公演をやりたいと公に発言をして、実際に物語が始まった。「ここで俺がビビって外に向けて東京ドームを目指すって言えないのはどうなの。俺が始めなかったら、誰がそれを始めるんだろう」と思って。ここから始めちゃえばいいと思ったんです。
――今の状況で現実味を帯びている感覚はあるのでしょうか。
Novel Core 現実味を帯びているかと言ったら、全然帯びていなくて、現状で考えたら、普通に無理なんです。ただ、できないとも逆に思わない。何が起きるか分からないし、何かを起こすために今までもやってきたし、これからもやっていく。武道館を3年以内にやりたいって言った時も、それが現実的だと思っていた人は、身内を含めて、ほぼいなかったんです。でも、それが実際に3年で現実のものになったということは、そういう夢や目標を具現化する力は、おそらく自分の中に備わっている。それを現実のものにするために必要なサポートや、チーム体制があるならチャレンジしたほうがいいなと。100パーセントできないわけじゃないし、1パーセントでも可能性があるなら、やったほうがいいと思う。そう思わせてくれているのは、ついてきてくれているOUTERのおかげでもあるので、ここから始めようと思いました。
――東京ドームに向けて、今必要なことは何だと思いますか。
Novel Core 無数にあります。アーティストとしても、人間としても、フロントマンとしても、僕個人が成長しなきゃいけない部分がいっぱいある。パフォーマンス面でもそうだし、ブレイン的な要素としても、もっと僕が頑張らなきゃいけないところはたくさんある。一緒にやっているTHE WILL RABBITSとJUGEMも、もっと強くならなきゃいけない部分が多くある。チームとしてもそうで、プロモーションに関することや、Novel Coreというアーティストを大衆的なものにするために一番大事なポイントはなんだろうっていうのをみんなで探っていく作業を、もっと丁寧にやらなきゃいけない。やっていることが複雑な分、それをどれだけ分かりやすく、みんなに伝えるかが大事だと思います。本当にやらなきゃいけないことは無数にあるんですけど、全部やらないと実現できないと思うんで、全部やらないとなという気概はあります。
――THE WILL RABBITSのメンバーの反応はいかがでしたか。
Novel Core KUMAさんは、うちのチームに入って、バンドのメンバーになった当初から、「Novel Coreの音楽は世界に通用するものになると思っている。そのために自分は音楽面でサポートしたい」っていうのを言ってくれています。もちろんTHE WILL RABBITS全員がそういう思いを持っていてくれて、僕がめちゃくちゃ沈んだ時とか落ちた時も、メンバーにいろいろ相談もしています。そういう諸々を知ってくれた上で、僕があそこで口走ったのを後ろから見て、「ああ、本当にやる気になったんだな」と感じたと思います。ライブが終わった後、バックヤードで誕生日ケーキを食べながら、みんなと話していた時も、1個スイッチが変わって、「新たなフェーズが始まっちゃったね」という感じがあったので、そのムードは切らさずに5年間やり続けたいなと思っています。

――ライブハウス好きの人たちを、ホールやアリーナに引き込んでいくために、何が必要だと思いますか。
Novel Core そこは音楽の強度でしかないと思っていて。環境に関係なく楽しいとか面白いとか素晴らしいって感じるのは、もちろん演出とかもありますが、そこに聴きたいものがないと来てくれないと思うんです。たとえば「距離が近くて触れ合えるかもしれないから」みたいな付加価値の部分でライブハウスに来てくれている子たちが、どうやっても物理的距離がライブハウスよりも遠くなるホールやアリーナに来る理由というのは、純粋に聴きたい曲があるとか、どうしても生で見たいものがあるというところだと思うんです。音楽面でも、パフォーマンス面でも、もっと人を引きつけなきゃいけない。そのために楽曲の強度を上げなきゃいけないし、それをライブでやる時のアレンジ、音響、自分たちのステージの立ち回り、演出もそう。そういうところを改めてしっかり見つめ直すのが一番大事なのかなと思います。
――「音楽の強度」とは、具体的にどういうことでしょうか。
Novel Core メロディーがどれだけ優れているか。たとえば、耳に残るかとか、ちゃんと編曲が主旋律を際立たせるものになっているかとか、そういう音楽的に専門的なロジックもいっぱいあると思うんです。でも、めちゃくちゃ分かりやすいところでいくと、歌が圧倒的に上手い、パフォーマンスがずば抜けている。こんなに動いているのに、綺麗で歌もブレないし、ちゃんと声も聞こえやすいし、歌詞も聴き取りやすいし、その上で感情も乗っかってきていて。どうして、この人の声にはこんなにパワーがあるんだろうと思わせる声を持っていると多くの人を引きつけて、それが強度につながる。歌が上手い、パフォーマンスが素晴らしいって、とてつもない武器なので、そこを甘く見てはいけないというのは、今の僕の感覚としてはあります。自分の作っているものが、もっと多くの人に評価されるものになる自信があるからこそ、そのためには、ちゃんとアウトプットの仕方を自分たちで磨き上げないといけない。せっかくいい曲を作っても、どれだけレコーディング音源が良くても、ライブで聴いたら「あれ?」ってなっちゃう歌や演奏だったら、人が集まってきてくれないと思うし、逆に曲が良くて来てくれた人たちを離してしまうかもしれない。それはもったいなさすぎますよね。
Novel Core
東京都出身、25歳。ラッパー、シンガーソングライター。SKY-HI主宰のマネジメント / レーベル “BMSG” に第一弾アーティストとして所属。
高いラップスキルと繊細な歌唱技術を保有しながらも、等身大の言葉で紡ぐ飾らない表現力とパワフルなライブパフォーマンスが話題を呼び、幅広い世代から強い支持を集める。ヒップホップとロックを軸に、様々なサブカルチャーを融合させた独自のミクスチャーサウンドは、ジャンルに縛られない自由な表現として高い評価を獲得。これまでに発表した全てのアルバム作品が主要チャートで日本1位を獲得するなど、その名を確かなものとしてきた。2024年1月、日本武道館での単独公演を完全ソールドアウトで成功させ、翌2025年2月には自身初となるアリーナ単独公演を決行。大型公演に限らず、全国各地のライブハウスを巡るツアーも精力的に展開し、圧倒的なライブ力と真摯な姿勢でファンダムとの強い信頼を築いている。また、ライブの総合演出をはじめ、衣装のスタイリングからアートワークのデザインに至るまで、全てのクリエイティブにおいて一貫してNovel Core自身がディレクションを担っており、その鋭い感性は音楽シーンの枠を超えて高く評価されている。FERRAGAMOやETROなどのトップメゾンのモデルにも起用されるなど、ファッション業界からの注目も高く、アーティストとしての表現領域をさらに広げている。音楽、ファッション、アートワークなど、多種多様なカルチャーへの愛とそれを裏付ける実力で、Z世代を牽引する新世代ミクスチャーアーティスト。
PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI
