わか(若月佑美)とちま(樋口日奈)はずっと尊敬できる存在
――一番好きな妖怪は?
生駒 座敷童子も好きなんですが、かっこいいという意味では「がしゃどくろ」です。めちゃくちゃ大きい人間の骨の妖怪で、ただただ悪い奴なんですけど強いんですよ(笑)。「のっぺらぼう」も単純にビジュアルが怖くて好きですね。東北の妖怪だと「一本だたら」もヤバい奴で、小さい頃はニコニコしながら読んでいましたね(笑)。
――昔から怖いビジュアルやお話に恐怖感はなかったんですか。
生駒 全く怖くなかったです。妖怪、オカルト、ホラー、エログロなど、おどろおどろしい雰囲気に小さい頃から惹かれていたのは、大人になって気づきました。

――生駒さん自身、ホラー映画にも出演されています。
生駒 ホラーが一番のエンターテインメントだと思っています。ただ時代とともに怖さのジャンルが変わってきていて、映像技術が上がったせいで粗や作り物感が隠せなくなってきているんですよね。だから私はスプラッターが全然怖くなくて。あえてB級で作るスプラッター描写は面白いと思うんですが、リアルにやるんだったら、目が肥えているホラーファンが多いので、「これって人形じゃん」「どこが怖いの?怖がっているふりをしているだけだよね」で終わるんです。そこは演技力ではカバーできないものですよね。それよりは人の怖さとか見えないものに対する恐怖心の描写を丁寧に描く作品が好きで、韓国のホラーはその傾向が強いですよね。ただ私は集合体恐怖症なので、そっち系のグロい見た目は唯一苦手です(笑)。
――話は変わりますが、三十代を迎えて、意識の変化はありましたか?
生駒 私は「何歳だからできる」とか「何歳なのにすごいね」というのを封印しようと思って。ただの数字的な節目で、毎日誰かが生まれて、亡くなって、誕生日を迎えているわけだから、特別ピックアップされる意味もないかなと。その代わりに、自分がどれだけできるのかをしっかり自分で磨いて、皆さんに示していかないといけないというのは強く思いました。
――先ほど歌のトラウマについてのお話がありましたが、以前よりもトラウマに向き合いやすくなった感覚はありますか。
生駒 昔は向き合うこと自体がつらかったんですけど、今は向き合っても「まあいいか」くらいになりました。年を重ねて「いい加減に頑張ってみたら?」って自分に言えるようになったというか。いつまでも、クヨクヨしてもしょうがない。そういう時に自分で自分に「お前三十歳だろ」とは言えるんですけど、他人から言われるとちょっと違うっていうひねくれた気持ちもあります(笑)。

――良い意味で諦めがつきやすくなったという面もありますか。
生駒 めちゃめちゃあります。切り替えも早くなりましたし、できないことにクヨクヨするのも諦めて、「じゃあできるようにすればいいんじゃない?」と自分自身に言えるようになりました。
――昨年は朗読演劇『図書委員会』で若月佑美さんと共演されましたが、グループ時代の同期の方々の活躍は励みになりますか。
生駒 最近、わか(若月)、ちま(樋口日奈)と会うことが多くて、二人は昔から今に至るまで、ずっと尊敬できる存在ですし、お仕事でも素晴らしい動きをしているので、かっこいいですね。わかは気づきを与えてくれるような言葉をくれる存在で、いつも私のことを的確に見て、理解してくれています。ちまはアイドル時代、苦労する時間のほうが長かったかと思いますが、今、様々な作品にひっぱりだこで、当時からちま推しの私としては「魅力に気づくの遅いよ〜」と古参オタクをしています。根っから性格の良い子で、自分の心が汚染されそうになったときにちまを思い出すんですよ。思っていることは一緒でも、口に出す言葉のチョイスが全く違っていて、口調が柔らかいんですよね。同期は、この数年でできた友達とはまた違う特別な存在なんだなと思います。
Information
ミュージカル『どろんぱ』
東京公演:2026年3月16日(月)~29日(日) 日本青年館ホール
大阪公演:2026年4月3日(金)~7日(火) SkyシアターMBS
小池徹平 屋比久知奈
生駒里奈 木内健人 東島京 加治将樹 土井ケイト 相葉裕樹
吉野圭吾 真琴つばさ 他
作・演出 末満健一
作詞 森雪之丞
作曲・編曲・音楽監督 深澤恵梨香
ゲストコンポーザー 和田唱
煙の妖怪である烟々羅(小池徹平)は人間の姿に化けて、爽子(屋比久知奈)というひとりの女性に憑りついていた。爽子に「自分の夫・遠野薫」だと思いこませた烟々羅は、彼女とともに神隠しの伝承が残る深い森へとやってくる。爽子は行方不明となった自分の娘をさがすうちに、その森へと足を踏み入れたのだ。だが、そこは神隠しの森などではなかった。時代の流れとともに信仰や畏怖する心が失われた現世から追いやられた妖怪たちの吹き溜まりの森であった。森の様子はなにやら慌ただしい。現世から《どろん》と消えてしまった妖怪たちが、再び現世に《ぱ》と現れるための年に一度の祈願祭、《どろんぱ》がまもなく催されようとしていたのだ。福の神である座敷童子(生駒里奈)、日本全国に伝承が残る河童(東島京)、ひねくれ者の猫又(木内健人)、欲望のままに行動する犬神(加治将樹)、神聖さすら漂わせる九尾狐(土井ケイト)、得体の知れない天邪鬼(相葉裕樹)、墓場の土から生まれた人形神(真琴つばさ)、そして妖怪たちの総大将である滑瓢(吉野圭吾)。烟々羅と爽子を待ち受ける運命とは。今宵、妖怪たちの百鬼夜行がはじまろうとしていた。
PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI ,HAIR&MAKE:髙橋早登子(bonalycka),STYLIST:津野真吾(impiger),衣装協力:tiit tokyo(THÉ PR)
