ライブ15分前にトイレの個室で集中して、スイッチを入れる

――LIZARD(劇中名:TOKAGE)でモモヨ(劇中名:モモ)を演じる若葉⻯也さん、THE STALIN(劇中名:解剖室)で遠藤ミチロウ(劇中名:未知ヲ)を演じる仲野太賀さん、FRICTION(劇中名:軋轢)でレック(劇中名:DEEP)を演じる間宮祥太朗さんなど、モデルとなったバンドさながらのライブパフォーマンスを再現しているのも、本作の大きな見どころです。

峯田 映画で鳴っている音は元のレコードやCDの音源を使っていて、それを大音量で流しながら演じていました。ギターやベースも、実際のコードに合わせて弾いているので、かなり練習していたんじゃないかな。特に軋轢のメンバーは楽器経験のある役者さんが選ばれていたようで、そのあたりもリアリティにつながっていたんじゃないかなと思いました。

――ミュージシャンを演じる俳優さんに、アドバイスを求められることはなかったんですか。

峯田 目の前で演奏している彼らが本当にかっこよくて、僕からアドバイスすることは何もなかったですが、僕がいることで「緊張します」と言われました(笑)。

――若葉竜也さんとの共演はいかがでしたか。

峯田 一緒にいて気持ちよくお芝居ができました。段取り、リハーサル、カメラチェック、本番と1シーンで同じことを10回、15回とやったりするので、どうしても毎回ニュアンスが変わってしまうんです。でも、それに毎回合わせて演技を返してくれるので、生々しいセッション感がありました。

――ZELDA(劇中名:ロボトメイア)のチホ(劇中名:サチ)を演じた吉岡里帆さんは劇中で実際にベースを弾いています。

峯田 吉岡さんはベースを弾くのが初めてで、最初のベース練習は僕も立ち会ったんですが、その時は「こうやって弾くんですか?」とたどたどしかったんです。でも撮影に入ったら、顔つきが全然違っていて、ベーシストになっていました。家で相当練習したんでしょうね。役者さんって本当にすごいなと思いました。

――田口監督の演出はいかがでしたか。

峯田 トモロヲさんの映画監督作品は毎回参加しているんですが、めちゃくちゃ気合いが入っていました。自分が若い頃に体験したシーンの話という思い入れもあるんでしょうが、「完成させるまでは死ねるか。最後まで撮り切ってやる!」という気持ちが伝わってきました。

――特に印象的だったシーンを教えてください。

峯田 ユーイチは周りのバンドマンに比べて、感情的になることが少ないんですが、唯一感情的になるのが、モモがどんどん変わっていく中で、ロボトメイアのレコーディングがあるシーン。そこでユーイチは、自分勝手なモモに対して「うるせえんだよ!」ってキレるんですが、そこで僕自身も感情的になって、自然と涙が出てきました。

――映画の冒頭で、解剖室が学園祭でパフォーマンスをしていて、ユーイチが撮影するシーンがあります。未知ヲを演じる仲野さんが全裸でパフォーマンスする姿には鬼気迫るものがありました。

峯田 太賀君は全裸でよくやったなと感心しました。しかも真冬だったので、とんでもなく寒かったんですよ。楽屋の時点でTHE STALINの曲を聴きながら、スイッチを入れていました。

――峯田さんもライブ中は凄まじいステージングを展開しますが、本番前はどうしているんですか。

峯田 本番の15分前にトイレの個室に入るんです。そこで集中して、スイッチを入れます。

――若い頃からそうだったのでしょうか。

峯田 若い頃は本番の2、3時間前からずっとテンションが上がっていたんですけど、それだと精神的に持たないし、ギャーギャー叫んでいるので、周りから白い目で見られるんです(笑)。ある時期から、直前まで普段の自分でいようと心がけて、直前の15分で切り替えるようになりました。