「俺も何かやれるかもしれない」という気づきを与えてくれる作品
――音楽を好きになったきっかけを教えてください。
峯田 親がビートルズ狂なんです。子どもの頃から家でずっとビートルズが流れていて、ドライブに行けば車の中でもずっとビートルズ。『ラバーソウル』あたりまでの曲名は全曲言えるくらいでした。

――ビートルズ以外のバンドを聴くようになったのはいつ頃ですか。
峯田 かなり恵まれた音楽環境で。実家が山形で町の電器屋をやっていたんですよ。僕が小学4年生の時に、電化製品だけでは商売が成り立たないということで、レンタルビデオとレンタルCDを始めたんです。そこで手伝いを始めて、CDレンタルの棚が僕の担当になったんです。どのアルバムのジャケットを面だしにするかを任せてもらって、空き時間にはラジカセで気になったものを聴いていました。うちでバイトしていた中学生にミックステープを作ってもらうこともあって。小学4年生にしてはロックに詳しいほうでした。
――ちなみに映画はどういうジャンルが好きだったんですか。
峯田 ホラー映画が大好きだったので、『死霊のはらわた』みたいなえぐいジャケットばかり面だしして怒られました(笑)。いまだに『死霊のはらわた2』が出たときのうれしさは忘れられないですね。そういえば当時は友達の誕生日会にホラー映画のVHSを持って行って、みんなで鑑賞会をしていました。
――パンクに出会ったのも同時期ですか?
峯田 小学4年生の時に、友達の横川くんの家でTHE BLUE HEARTSのセカンドアルバム『YOUNG AND PRETTY』を聴いたのが最初です。その後、『夜のヒットスタジオ』でTHE BLUE HEARTSのパフォーマンスを観て、「何これ!?」となって。今思えばあれがパンクとの出会いだったと思います。高校生になって、THE STALINやじゃがたらなどを聴いて、日本のパンクに興味を持って、リアルタイムではニルヴァーナを聴いていました。

――高校時代、同じような音楽趣味の友達はいたんですか。
峯田 クラスに4人いました。一人はストーン・ローゼズやオアシスなどのイギリスのロック、一人ははっぴいえんど、一人は日本の古いフォーク、一人はパンクと、それぞれ得意なジャンルがあって。僕の音楽の趣味はその4人によって形成されました。
――最後に改めて『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』の見どころをお聞かせください。
峯田 ロックは「スタイルも顔も良いイケメンがステージの真ん中でかっこつけて歌うもの」みたいなイメージがあったけど、パンクは「別にかっこよくなくていい。そこら辺にいる兄ちゃんがそのままの姿で歌っていい」と肯定してくれた。この映画は観た後に「俺も何かやれるかもしれない」と思えるような気づきを与えてくれる作品だと思うので、そういうものを感じてもらえたらうれしいです。
Information

『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』
2026年3月27日(金)より公開
峯田和伸 若葉竜也
吉岡里帆 仲野太賀 間宮祥太朗 中島セナ
神野三鈴 浜野謙太 森岡龍 山岸門人
マギー 米村亮太朗 松浦祐也 渡辺大知
大森南朋 中村獅童
監督:田口トモロヲ
原作:地引雄一「ストリート・キングダム」
脚本:宮藤官九郎
音楽:大友良英
エンディング曲:「宣戦布告」峯田和伸/若葉竜也
©2026映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』製作委員会
1978年、偶然ラジオから流れたセックス・ピストルズに衝き動かされたカメラマンのユーイチ(峯田和伸)は、小さなロックミニコミ雑誌「ロッキンドール」に出会い、とあるライブハウスへと足を運ぶ。そこで出会ったボーカルのモモ(若葉竜也)率いるバンド「TOKAGE」のライブに衝撃を受け、無我夢中でシャッターを押した。そこは音楽もバンドも観客たちも何にも縛られない生のエネルギーに溢れた異空間だった。カメラマンとしてライブの撮影を依頼されたユーイチはモモたちと交流を重ねる。やがて彼らの音楽は瞬く間に若者たちを熱狂させ、そのムーブメントは“東京ロッカーズ”と呼ばれ、日本のロックを塗り替えていく。世界を変えたのは、才能だけじゃない。音に賭けた、若者たちの衝動だった。
峯田和伸
1977年12月10日生まれ、山形県出身。ロックバンド「GOING STEADY」として音楽活動を開始、その後バンド「銀杏BOYZ」を結成。田口トモロヲ監督の『アイデン&ティティ』(03)で中島役として映画初出演にして初主演。以降『少年メリケンサック』(08/宮藤官九郎監督)、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(10/三浦大輔監督)、『ピース オブ ケイク』(15/田口トモロヲ監督)などに出演。またドラマ「奇跡の人」(16/NHK)では連続ドラマ初主演を務める。近年の出演作には、「いだてん〜東京オリムピック噺〜」(18/NHK)、『越年 Lovers』(20/グオ・チェンディ監督)、映画『BAUS 映画から船出した映画館』(25/甫木元空監督)、舞台 大パルコ人⑤オカタイロックオペラ「雨の傍聴席、おんなは裸足・・・」(25/宮藤官九郎演出)に出演するなど、歌手・俳優として活躍している。
PHOTOGRAPHER:HIROKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:AYUMI SUGIMOTO,STYLIST:HIROAKI IRIYAMA
