ストーリーとは別軸でスポーツみたいな側面もある異色の舞台

――『汗が目に入っただけ』は、かなり変わった趣向の舞台だそうですね。

小越勇輝(以下、小越) お話をいただいた時に、演出・脚本を担当するのが冨坂(友)さんとお聞きして。2023年に冨坂さんが脚本を書かれた『SHINE SHOW!』という舞台でご一緒させていただいていたので、おそらく今回もコメディなんだろうなと思っていたんです。ところがふたを開けてみると、“エクストリーム・シチュエーションコメディ(kcal)”というコンセプトが掲げられていて、「これは一体どういうことなのか?」というところから始まりました。普通の演劇とはまた違う軸がストーリー上にあって、すごく簡単に言えば「お芝居の中でどれだけカロリーを消費できるか」というコメディ作品になっているんですけど、ストーリーとは別軸でスポーツみたいな側面も持っています。演劇も一種のスポーツではありますが、スポーツをしている自分らが、『汗が目に入っただけ』という演劇をしているんだという不思議な二重構造なんですよね。こうして説明をしていても、なんじゃそりゃという感じではありますが(笑)。

――どういうふうに展開していくんですか。

小越 まず出演者それぞれの年齢と体重から消費カロリーを算出するシステムがあって、それを基に進めていくんですが、日によって変わる部分も出てくると思います。途中から審判や実況が入ってきて、いかにカロリーを消費するためにオーバーにやっていくかというのもコメディの要素として面白く作用していくんじゃないかと思います。お客さんが最初に観ているのは『汗が目に入っただけ』というストーリーで、途中から「あ、そういうことだったのか!」という驚きがある構成です。

――普段から体を動かすことは多いんですか。

小越 ジムに行ったり、散歩が好きなのでよく歩いたりします。

――ストーリー的にはどんな内容なのでしょうか。

小越 冨坂さんの実体験がベースにあるんですが、母がぽっくり亡くなってからの、家族間のお葬式の話し合いがメインになっています。それだけ聞くと、暗くしんみりした話なのかなという印象を受けると思いますが、兄弟間の問題や家族の話がベースにありながら、うまく噛み合わない感情や、意見がぶつかっていく様が面白く描かれています。笑って楽しんでいただける作品ですし、最後にはグッとくる場面もあります。

――亡くなって霊魂となった母親・森井由美子を演じる鈴木保奈美さんは、どのように家族とコミュニケーションを取るのでしょうか。

小越 保奈美さん演じる母は幽霊なので僕ら家族には見えないんですが、葬儀社の担当らしき女性を演じる蘭寿とむさんは霊が見えて、彼女を介して母親とのやり取りがあります。