音楽のために音楽以外のインスパイアを受けることが多い
Novel Core マジでクマさんの言う通りで。明確に言うと、2024年1月の武道館公演のタイミングの前後ぐらいから持ち始めた感覚があって。それはフロントマンとしての危機感でもあったんですが、ずっと僕がフロントに立っていて、ある違和感があったんです。その違和感の正体は、後ろにいるRABBITSは良い演奏をしているのに、客席のみんなは、僕のことを目で追っている。僕が左に行ったらみんな左を見るし、右に行ったら右を見るし、僕が手を挙げたらみんな手を挙げる。僕が手を下げたら、後ろのメンバーが手を挙げていても、みんな手を下げてしまう。コントロールできているのが僕だけというのが嫌で、せっかくバンドとしてステージに立っているんだったら、お客さんを自由にコントロールできるのが僕だけではなく、全員であるべきだなと。僕が歌に入り込んでいる瞬間に、後ろのメンバーがすっと手を挙げたら、お客さんも手を挙げるくらいのパワーを個々が持つべきで、王様が5人いないと意味ないと思っているんです。どうしても1対4の構図になるのはしょうがないけど、それぞれにそれくらいのパワーを持ってほしいし、全員がフロントマンの意識を持ってほしい。それで「HERO TOUR 2024」のリハーサル中に、「俺がフロアに降りてお客さんの中で歌っている時に、みんなが俺を見るのは悔しいことだと思ったほうがいい」という話をして。
クマガイ 言ってた!

Novel Core 「今回のツアーは俺に勝てよ」みたいなことを言ったんです。そしたらZepp Fukuokaの公演で、僕がアンコールで2階から登場して、そのまま2階で歌う時に、「よっしゃ!どっちが引き寄せられるかクマさんと勝負だ」と煽ったら、クマさんが客席の前に出てきてギターを弾きまくって。その時に初めて、お客さんの目線が僕とクマさんの半々くらいになったんです。もちろん2階を見上げているお客さんもいるんですが、前のお客さんはステージのクマさんに夢中になっていて、その時にバンドはこうあるべきだと大きな可能性を感じました。
クマガイ あの時は俺もブチ切れてたもん(笑)。「絶対に負けない!」と思った。
Novel Core 僕はバンドを「連れている」という感覚はないし、一を十に、一を百に見せるためにバンドがいるわけではない。どちらかというと、「俺が意地でも自分で一を百にするから、違うところから別の百を持ってきてくれ」と思っているんです。それが合わさって五百や六百にしようぜと。そうじゃないと世界や日本のトップと戦えないと思っていて。もともとの馬力で、とんでもない数量を持っている人たちと同じやり方では無理なので、僕たちなりのやり方でど真ん中に向かっていく時に、みんなの力が必要なんです。それで本気になってくれということを伝えたタイミングでした。

――そういったステージングは、その場で起きる化学反応が大きいと思うんですが、そのためにクマさんが日頃から心がけていることはありますか。
クマガイ 僕はギタリストとして特殊なほうかもしれないんですが、演奏のことばかり考えるのではなく、いろんなものに興味がありますし、普段の生活の中で、どうやったらかっこいいかを考えることもあります。たとえば、しゃべる時の声のトーンなど、細かいことから意識をしています。あと音楽のために音楽以外のインスパイアを受けることが多くて。それこそ匂いだったり、味だったり、景色だったり。そういうものの見方もCoreが広げてくれたので、がむしゃらに1分1秒でも新しい自分でいられるようにしようという考え方を常に持っています。
Novel Core RABBITS結成当時はステージングのことも、いろいろ言わせてもらったよね。こう動いてほしいとか、シンメにいてほしいとか言ったら、クマさんの動きが不自然過ぎて(笑)。僕ですら気を遣使って、「それはダサいと思うよ」とは言わなかったけど、舞台監督の磯海さんが、「クマガイの動き何だよ。ダセェからそんな動きすんなよ」と指摘していて。そんなところから始まったけど、今は感覚的に行くのが大事だなと思っていて。今、クマさんの話を聞いて、いろんなものに興味があって、クリエイションの面で映像などからイメージが刺激されることもあるし、必ずしもギターが自分のフィルターを通す全てではないというのは、すごい強みだと思うんです。RABBITSとしてステージに立ってもらう時に、技術も大切なんですけど、考えなくても自然と出てくるようにするためにやらなきゃいけないことって意外とシンプルで。僕もいろんなものに興味があって、映像を作るし、編集もするし、アートワークも作るし、歌も歌うし、ラップもするし、踊ったりもする。いろんなことをするんですけど、世間から見た時って、僕はボーカリストだし、歌を歌う人、マイク持ちなんで、出口がそこしかないはずで。全部のクリエイションのレベルを自分で高くしたい、高く見せたいって思った時に、僕が歌手としてのレベルが低いと、好きなもの全部が濁っちゃう。だから、僕が一番上手くならなきゃいけないし、一番かっこよくならなきゃいけないしという気概を持てば、自然と技術の面もフィジカルの面もついてくるはずで。それと同じことを、RABBITSのみんなもクマさんを中心に今向き合っているタイミングなのかなと思います。
