マネージャーさんの言葉を聞いて意識が変わって積極的になった

――ダンス未経験と仰っていましたが、加入当時、ダンスレッスンはいかがでしたか。

矢倉 全然ついていけなかったです。2期生メンバーは当初23人もいたので、鏡が見えないんですよ。しかも私はダンスに自信がなくて消極的だったので、後ろのほうにいて。柱で自分の踊っている姿は見えないけど、とりあえずやるみたいな。先生からは、後ろの隅っこにいるから、「おばけ」と呼ばれていたみたいで(笑)。

――メンバーの前でも「おばけ」と言われていたんですか?

矢倉 先生におばけと言われていたのを知ったのは、だいぶ経ってからです。ダンスの先生は3人いたんですけど、AKIRA先生という方が、次の授業の先生にバトンタッチする時に、「おばけみたいな子がいる」と話していたらしくて。バトンタッチした先生も、パッと私を見て、「この子がおばけと呼ばれていた子だ」と、すぐに分かったらしいです(笑)。

――そんなに消極的で注意されなかったんですか?

矢倉 前代未聞なんですけど、その当時いたマネージャーさんに私だけ呼び出されて、「もっとメンバーとしゃべりなさい」と言われました。

――メンバーとの会話もままならなかったんですか?

矢倉 そうなんです! ちょっと構えちゃって緊張もするし、人見知りだし、ダンスもついていけなくてどうしようってなっていて。そんな時にマネージャーさんの言葉を聞いて、もっと周りと関わっていくべきだし、ダンスができないんだったら、積極的に先生に教えてもらおうとレッスンは前を陣取るようになって。そうしないと浮く一方だと思って、意識を変えました。

――それまで遠慮気味だった矢倉さんが前に出るようになってメンバーも驚いたでしょうね。

矢倉 後ろにいたから、メンバーも私の名前を知らなかったんです。いつも端っこでりんごばっか食べていたから、「りんごちゃん」って呼ばれてたんですよ。りんごちゃんってタレントがいますけど、私が元祖りんごちゃん(笑)。でも徐々に「ふぅちゃん」って愛称が浸透して、名前を憶えてもらえたんです。そこで意外としゃべるんだ、明るいんだ、面白いんだと認識されて、みんなと仲良く打ち解けるようになって。先生にも分からない時は聞きに行くようになったら、コミュニケーションも取れて、「あなたがこんなに変わるなんて思わなかった」と言われました。それまで慣れない環境というのもあったと思うんですけど、勇気を出して一歩踏み出して良かったなって思います。あと劇場公演が目前になった時に、「選ばれなきゃ!」という気持ちが強くなったのも大きかったです。

――2011年8月13日に『「NMB48 2期生「PARTYが始まるよ」』の初日公演で選抜メンバー16名の中に選ばれて劇場公演デビューを果たします

矢倉 選抜メンバーの名前が発表された時、私が呼ばれたのは確か13番目ぐらいでギリギリだったんです。ところが劇場初日公演を、茅野しのぶさんを始め、AKB48関係者の方々が見に来てくださって。公演後に誰が良かったかをNMB48のプロデューサーの方と話したら、そこでしのぶさんが私の名前を挙げてくださったみたいで。プロデューサーの方も私を評価してくれて、NMB48の2ndシングル「オーマイガー!」(2011年10月19日発売)で初めて選抜に選んでいただきました。

――先輩とはすぐに打ち解けられましたか?

矢倉 今だから言えるんですけど、先輩はめっちゃ怖かったです。1期生にとって初めての後輩で、1期生同士もバチバチだったし、2期生もライバルだと思われているなと感じました。最初は挨拶なども厳しく言われましたが、選抜で同じになると過ごす時間も増えてくるので、お互いのことも分かってきて、憧れや尊敬する気持ちが強くなりました。選抜でも横に並ぶというよりかは、先輩に引っ張ってもらっている気持ちでしたね。

――学校との両立はどうでしたか。

矢倉 すごく大変でした。私が初選抜に選ばれた頃は、仕事が選抜に全部集まってたんですよ。大阪が拠点なのに、東京にいることが多くて、寝る暇もなくて。毎日寝不足だったぐらい忙しかったので、ほとんど学校行事にも参加できなかったですし、中学の卒業式も私だけ別日でやっていただきました。でも普通では経験できないことをさせてもらっていたので、全然苦じゃなくて、逆に勉強嫌いだったので助かりました(笑)。もちろん勉強もしなきゃいけないけど、「この仕事で生きてくぞ!」と14歳ながらに思っていて、アイドル活動に専念しようと腹を括っていました。

――その後、矢倉さんはAKB48と兼任した時期も挟みながら、2018年4月までNMB48のメンバーとしてアイドル人生を駆け抜けました。今後はアイドルのプロデューサーとしても活動していきますが、そのために新たに始めたいことはありますか?

矢倉 毎年言ってることではあるんですけど英会話を学びたいです。アイドルカルチャーは世界に広がっていますし、英語ができたらめっちゃ強いので、プロデューサーとしても英語を話せるようになりたいです。NMB48を卒業する時、オーロラが見たくて番組の企画でフィンランドのヘルシンキに連れて行ってもらったんです。その時に街でロケをしていたら、「ふぅちゃん!」って声をかけてくださったファンの方がいて。思いがけないような国で応援してくださっている方もいるので、そういう方に対してもお礼になるというか、英語は世界共通で伝わるので、そんな方のためにも勉強したいですね。

Information

『矢倉楓子と安田叶のkawaii land』
アイドル専門チャンネル「Pigoo」で放映中

矢倉楓子、安田叶をプロデューサーに迎え、新規姉妹アイドルグループ結成に向けた公開オーディションの模様を届ける。矢倉楓子が王道アイドル・グループ、安田叶が本格派ボーカル&ダンス・ガールズグループ結成を目指し、書類選考を通過したオーディション参加者を審査。

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矢倉楓子

1997年2月24日生まれ。大阪府出身。2011年、NMB48第2期生オーディションに合格。2012年、NMB48の正規メンバーに昇格。2013年から2015年にかけてAKB48も兼任。2018年4月、NMB48卒業。現在はタレント、俳優、配信など、マルチに活躍中。渋谷クロスFMで放映中の『矢倉楓子と安田叶のkawaii land』(第1.2.3土曜日 20:00~)でメインMCを務める。

PHOTOGRAPHER:HIROKAZU NISHIMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI