混沌とした世界観で「流れにただ身を任せるまま」撮影に臨んだ

――玉城さん演じる主人公・玉川健斗を中心に描かれる本作。謎を残す終わり方も印象に残りましたが、撮影当時の心境は?

玉城裕規(以下、玉城) オファーをいただき、脚本を読んだ時点ではどう具現化されるのか想像が付かず、撮影中は現場の流れにただ身を任せていました。僕の役柄は物語において特殊で、他の登場人物は作品にある猟奇性を表現したシーンがあるのに、僕だけはないんですよね。混沌とした世界観をどれほど受け入れて、その違和感をどれほど味わえるか。自分の課題でしたけど、無心で空気に巻き込まれて行き着いたのが、謎を残すクライマックスのシーンでした。

――実際、演じてみての手ごたえは?

玉城 他のキャストのみなさんのセリフ、物語の状況を素直に受け入れていたので、特別に意識したことはなかったんですよ。僕自身、作品の世界観からにじむ不思議さを抱えたまま終わって、「果たして、これはどんな作品になるのか」と思いました。

――完成した作品はいかがでしたか?

玉城 一言「うわ〜…」と思いましたね(笑)。撮影に参加していないシーンもあったので、脚本だけで想像していた場面は「なるほど」と納得しました。過去に携わった作品の中でも世界観が特殊ですし、僕がたまたま主演とおっしゃっていただいただけで、全員が主人公になってもおかしくない作品です。キャラクターがみんな、輝いているなというのが素直な感想でした。

――旭正嗣監督は、撮影現場の玉城さんは「座長的役割をしっかり果たしてくれた」と評価していました。

玉城 僕はまったく意識していなくて、何を見ておっしゃっていただいたんだろうと思います。ただ、聞く勇気はありません(笑)。作品の世界観を考えると現場を盛り上げるのは違うし、空気が壊れてもいけないのでなるべく自然体でいようとは心がけていました。

――印象的だった撮影時の出来事は?

玉城 病院で撮影したシーンがあって、他のキャストのみなさんに囲まれての撮影は奇妙で印象に残りました。クランクアップがそのシーンで、病院を出たら鴨の親子が移動していたのも不思議でしたね。普段なら微笑ましく思えるでしょうけど、混沌とした作品の世界観から一歩外に出て、可愛らしい光景が広がっていると、意味も違ってくるんだなと思いました(笑)。