ターニングポイントになった「カーネーション」

――ターニングポイントになった作品は何でしょうか。

小島 お芝居の面白さを本格的に知ることができたのは「カーネーション」の影響が大きかったです。撮影期間は一人で3ヶ月ぐらい大阪にいたんですけど、私の出演パートはヒロインの小原糸子役が尾野真千子さんから夏木マリさんに代わって、夏木さんを始めベテランの俳優さんが多くて、お芝居ってこういうものなんだと間近で感じることができました。また地方ロケというのもあって、休憩中もスタッフさん・キャストさん全員で過ごすことが多くて、めちゃめちゃ仲良くなりました。だから今でも当時のスタッフさんやキャストさんは会うと、「里香、元気だった?」と役名で呼んでくれるんです。撮影でご一緒していないキャストさんも、他の現場でお会いしたときに、「里香を演じていたよね」と声をかけてくださるのでうれしいですね。

――過去に俳優以外の進路を考えたことはありますか?

小島 ないですね。ただ、高校時代から卒業後もお芝居でやっていこうと決めていたんですが、この世界しか知らないから、別の仕事をやってみるのもありなのかなと思ってバイトをしようかと考えたことはあります。

――やってみたいバイトはあるんですか?

小島 印刷会社で働きたいです。

――意外な職種ですね(笑)。

小島 以前、ご一緒した女の子に、何かいいバイトがないか聞いたら、「アニメや漫画のイベント前になると、作品を作る人たちの注文で印刷会社が忙しくなって人手不足になる」と教えてくれて。私自身、アニメやマンガが大好きでイベントにも行くので、「絶対に藤子ちゃん楽しいよ」ってオススメされました。あとアニメショップの倉庫整理なんかもいいですね。

――一見するとアニメやマンガ好きには見えないですよね。

小島 よく言われます。でもマネージャーさんに聞くと分かりますが、普段の私はアニメの話しかしないんですよ(笑)。仕事がないと引きこもりで、家にいるとマンガを読むか、ゲームをするか、アニメや洋画や海外ドラマを観ています。プライベートでは旅行も全く行かないので世間知らずなんですよ。このお仕事をしていると、否が応でも外に出て、地方に行く機会も多いので、お芝居を通して学ぶことは多いですね。

――俳優のお仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか。

小島 私は役名で呼ばれるのが好きで、視聴者の方にも小島藤子で認知されるよりは、「あのドラマに出ていた、あの子だ」と言われるほうがうれしいんです。それだけ印象に残る役だったということですし、そう言われる役をこれからも増やしていきたいです。

Information

演劇企画集団Jr.5 第15回公演『明けない夜明け』
2023年7月14日(金)〜7月20日(木)

会場:東京芸術劇場シアターウエスト
作・演出:小野健太郎
出演:小島藤子、吉本実憂、誠子(尼神インター)、鈴木勝大、成田沙織、岩瀬亮、石森咲妃(文学座)、鷲見友希、井筒しま、赤松真治、佐藤達(劇団桃唄309)、宮田早苗(劇団東京乾電池)
小野健太郎、奥田努

公式サイト

Twitter

小島藤子

1993年12月16日生まれ。東京都出身。ファッション誌のモデルや『おはスタ』のおはガールとして活躍、2008年4月、ドラマ「キミ犯人じゃないよね?」(テレビ朝日)で俳優デビュー。2018年、『馬の骨』で映画初主演。

PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI