廣野凌大の才能をリスペクトしている

――2023年にStray Cityシリーズ第1弾となる「Club キャッテリア」に出演したときの印象をお聞かせください。

田中涼星(以下、田中) 基になったのが「ろくにんよれば町内会」(日本テレビ)というバラエティ番組の企画で、その時点で火が付いているなという手ごたえがあって。その流れをそのまま舞台に持っていけた感覚がありました。ストーリーも歌もキャッチーで、一緒に口ずさんでくれるお客さんもいましたし、ダンスも盛り上がりましたし、みんなで楽しめたという印象です。

――かが屋さんの手掛けた脚本はいかがでしたか。

田中 コメディー色の強い作品ですが、セリフ回しなどが今まで僕が演じてきた舞台の脚本とは違っていて、さすが芸人さんだなと感心しました。それを生かすも殺すも役者陣にかかっていて、キャラの作り方、間、空間の使い方など、かが屋さんから挑戦状を出されているような気持になりました。そこは大きなチャレンジでしたね。

――シャムを演じる上で、どんなことを意識しましたか。

田中 僕自身、シャムと似ている部分が結構あるなと思っていて。特に第二弾の今回は出番も多いので重なるところも多いんですが、脚本を読んでいると、自分に言われているみたいな感覚があって。シャムはおでこに傷を負うなど、過去にトラウマを抱えているけど、それを表には出さない。普段は優しくて、ほんわかしている性格なんです。だからこそ、そのトラウマの出しどころが大切だと思っていて。シャムならではの柔らかさを保ちつつ、どこかにトゲがあるような印象を見る人たちに与えたいなと。類型的なキャラクターで終わらないように、自分の中にある引き出しを上手く使って、パンチの強いものを出したいなと思いながら役作りをしました。

――前回と今回では、その辺の匙加減も違いますか?

田中 そうですね。今回は(廣野)凌大とW主演ということで、前回以上にシャムとスコティッシュにフォーカスしてもらっているので、いろんな一面が見せられるなと感じていますし、シャムが心の中に溜めていたものを解放できるストーリーになっているので、上手く僕自身の気持ちとリンクさせて演じたいです。