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    インタビューと一言でいっても、インタビュアーと相手が「1対1」か、それとも「1対複数」かで進行は変わる。

    記事の内容を決めるのは下準備で、手間を数値化するなら「下準備:取材:執筆=8:1:1」の比率を理想とするのが、筆者の持論だ。

    下準備には様々あるが、相手の情報をリサーチして、質問案を構成するのが主な流れだ。ただ、言葉にするとサラッとしているが、作業の内訳を考えるとじつに細かい。

    例えば、リサーチでは相手のブログやSNS、過去のインタビュー記事をチェックするのが王道かつ基本である。しかし、ここで“もうひと手間”をかけられるかどうかで、記事の内容がより濃くなるかどうかが決まる。

    例えば、当サイトで担当した以下の記事では、HKT48のメンバーさんを取材する上で、SNSのチェックはもちろん、限られた時間で最新シングルリリースに関するコメントを“取材メモ”上で時系列に整理した。

    さらに、事前に動画で配信されていた“選抜発表”の様子から、インタビュー対象のメンバーはもちろん、取材当日に“話題のフックになるかもしれない”他のメンバーのコメントも含めて、すべてテキストに代えて、質問案作成に備えた。

    HKT48 「グループの『明るい未来』へ“2度目のWセンター”と“初の選抜メンバー”で目を合わせて」

    https://strmweb.jp/archives/14659/

    この記事で一つ、大きなポイントになったのはお披露目からわずか3ヶ月で選抜メンバーとなった7期生の新メンバー2人だ。

    グループ加入までの軌跡を追い、さらに、現場で“かけ合い”が生まれるようにと、たがいの印書も語り合っていただいた。加えて、先輩メンバー2人から見た新メンバー2人の“頑張り”も尋ね、インタビューに応じていただいた4人から、先輩後輩で力を合わせる“グループの今”を、できる限り立体的に伝えられるようにと努めた。

    厳密には思い出せないが、40分ほどのインタビューに向けて、下準備にかけた時間はおよそ4〜5時間だったか。当日までにSNSなどをチェックして、いったん作った質問案を練り上げていった時間も含めると、より多かったかもしれない。

    インタビュー本番はある種“水もの”で、現場の流れはやってみなければ分からない。ただ、下準備にどれほど労力をかけられるかで、相手の核心にふれられるかどうかも決まる。やはり、ライターとしてもっとも“シビれる現場”だと痛感してやまない。

    カネコシュウヘイ

    編集プロダクションを経て、2010年からフリーのライター・編集者に。アイドル、エンタメ、ビジネスなど、インタビューを中心にWeb・出版で精力的に活動。仕事もプライベートも「現場主義」がモットー。